不動産の個人売買をするときの注意点とは?メリットやデメリット、流れ・やり方を完全ガイド

この記事のざっくりしたポイント
  1. 不動産の個人売買は不動産会社を通すよりも手数料が節約できる
  2. 不動産の個人売買はトラブルが多い
  3. 個人売買で一番大切なポイントは売主と買主の信頼関係

 

不動産を売買するときって不動産会社に依頼しなければ売買できないって思っていたんですが、個人間での売買も可能なんですか?

 
 

可能ですよ。個人売買することによるメリットもありますが、当然ながらデメリットもあるので、しっかりと個人売買について知っていなければいけませんね。

 
 

なんか、個人同士の売買ってトラブルが多くありそうで怖いイメージがありますね。

 
 

最近では個人売買もできるようなサイトなども出てきていますので、以前と比べると壁は低くなり、個人売買を行っている人も増えていますよ。

 

基本的に不動産売買のときには専門家である不動産会社が間に入って、売買の仲介を行います。 しかし昨今、個人間での売買も増えていてさらに自由度が増しています。

不動産の個人売買についてメリットやデメリット、個人売買の流れなどについて詳しく解説していきましょう。

 不動産の個人売買は可能!

不動産の個人売買とは不動産会社を通さずに、個人間で取引を行うことを指します。 今までも個人間の不動産売買は行われていました。 例えば親子間や兄弟といった身内同士や友人などの知り合い同士で取引を行って、あまり費用を掛けたくない場合で多く利用されています。

しかし近年個人間での不動産売買ができるようなサイトが登場したことにより、インターネットを通じた個人売買が増えているのです。 不動産の個人売買において知っておかなければいけないことは、まず必要な書類関係を知ることや、どの程度の経費がかるのかといった点です。

次からは必要な書類や経費などについて説明していきましょう。

不動産の個人売買で必要な書類と経費

基本的に不動産取引において必要な書類は売主側に多く個人取引においても同様です。 では、どのような書類が必要になるのでしょうか。 必要な書類を表にまとめてみましょう。

書類 取得場所 備考
登記簿謄本 法務局 権利関係を確認します。
公図 法務局 土地の地図です。
固定資産税評価
証明書
市町村役所窓口 固定資産税を確認します。
登記済証
または
登記識別情報
ご自身保有 ご自身の所有を確認します。
確定測量図 保有若しくは
法務局
境界や位置関係の確認資料
です。
取得時の書類 ご自身保有 売買に関するその他必要な
書類です。

主に必要な書類の一覧です。

その他、必要になるかもしれない書類があるかもしれませんが、必ずといっていいほど上記の書類は必要になります。 次に経費について説明していきましょう。

個人間売買においてかかる必要経費は主に3つです。

1.      印紙税

契約書に貼り付ける印紙のことで売買金額ごとに変わります。 売主、買主双方とも必要です。

2.      登録免許税

所有権を買主に移転するための費用です。 買主が支払います。 固定資産税評価額の2%ですが2021年末までは1.5%に軽減されています。

3.      司法書士手数料

所有権の移転など基本的に司法書士に依頼しますが手数料がかかります。 手数料は依頼する司法書士によって異なるので手数料は事前に確認しておきましょう。

4.      抵当権抹消費用(抵当権設定時のみ)

売主の住宅ローンなどが残っている場合に抵当権が設定されています。 ローンを完済すると抵当権を抹消できますが、1筆1,000円程度で売主が負担しなければいけません。

他にも必要な費用があるかもしれませんが必ずといっていいほどかかる経費の一覧です。 不動産会社が仲介しても個人売買にしてもこれらの経費は発生します。

不動産を個人売買するメリット

 

このような書類や経費を漏れなく個人間でやり取りするのは大変そうですね。

 
 

そうですね。 専門的な用語も飛び交い、不動産の売買経験がないと戸惑うかもしれません。 そのため、多くの人は不動産会社を通じて売買を行います。

 
 

でも個人間売買を行う人は、メリットを感じるから行うんですよね? どんなメリットがあるのでしょうか?

 

個人売買を行うときにはどのようなメリットがあるのでしょうか。 ここではメリットを2点紹介します。 

不動産会社を通すよりも手数料が節約できる

一番のメリットを感じる点は手数料が節約できる点でしょう。 不動産売買において経費の中でも大きな割合を占めるのが、仲介手数料です。

不動産の売買仲介を行った不動産会社が報酬として売主、買主双方からもらうことができます。 仲介手数料は売買金額に応じて手数料率が変わります。

売買金額 手数料率
200万円以下の部分 売買金額の5%
200万円超400万円以下の部分 売買金額の4%
400万円を越える部分 売買金額の3%

例えば2,000万円の売買取引だった場合手数料は

200万円の部分・・・・・・200万円×5%=10万円

200万円~400万円・・・200万円×4%=8万円

残りの1,600万円・・・・・1,600万円×3%=48万円の計算式となるのです。 合計すると手数料は66万円+消費税となり、不動産会社に双方が支払います。この費用が個人売買ではかからないのです。

上記取引の場合だと66万円×2=132万円+消費税を節約することになります。 不動産仲介手数料がかからない点が個人売買を行う大きな理由のひとつです。

自由度に販売活動できる

不動産会社に売買を依頼すると募集などにおいて不動産会社主導で行います。 しかし不動産会社の動きに満足ができなかったり募集の方法がちょっと気に入らなかったりなど、もどかしい部分に関しても、不動産会社に依頼した以上はある程度の裁量は与えなければいけません。

不動産会社は他にも依頼された不動産のひとつですが、あなたにとっては自分の依頼した不動産物件だけですので温度差を感じることもあります。

個人取引になると自分の思うように募集ができ、自分の都合に合わせての対応も可能ですので非常に自由度が高い販売活動をすることができるのです。

MEMO
不動産会社に縛られない自由な販売活動を希望して個人売買を希望するケースも見受けられます。

不動産を個人売買するデメリット(注意点)

個人売買にはメリットもありますが注意点もしっかりと把握しておかなければ、後から後悔するかもしれません。 次に個人売買のデメリットについて説明していきましょう。

 不動産の個人売買はトラブルが多い

一番大きなデメリットとしてはトラブルが多くなってしまう点が挙げられます。 不動産売買に不動産会社が仲介に入るのは何も手数料目的だけではありません。 買主、売主双方がトラブルなく、不動産の流通を促進させるためでもあるのです。

というのも不動産売買は、いろいろな法律や法令が絡んでいるので、単純に難しいのです。 難しいからこそ不動産会社を仲介に入れて売買を行います。

個人売買は不動産のプロである不動産会社が仲介しないため、どうしてもトラブルが多くなるのです。 トラブルがこじれてしまい裁判となり、仲介手数料以上の裁判費用を払ってしまったという例も少なくありません。

注意
個人間のトラブルが多いことが大きなデメリットとして挙げられます。

 不動産の個人売買だと住宅ローンが通りにくい

多くの人は不動産を購入するときに現金一括では支払えません。 不動産は非常に金額が大きいため住宅ローンを利用してマンションなどの不動産を購入します。 住宅ローンの審査が通らなければ不動産を購入することはできないわけですが個人売買の場合、住宅ローンが組みにくくなってしまうのです。

本来ならば不動産会社がさまざまな申請もお膳立てするのですが、個人間だと全て自分自身で行わなければならずうまくいかないケースもあります。 そうすると住宅ローンの審査が通らないことになってしまい不動産売買ができなくなるのです。

注意
住宅ローンの審査において非常に手間がかかり難しい点もデメリットといえます。

必要書類を集めたり作成したりととにかく大変

不動産会社に依頼すると書類の準備や提示など、ほとんど不動産会社が行ってくれます。 しかし個人間売買においては買主、売主双方ともすべて自分自身で行わなければいけません

書類の作成においても然りです。 不動産会社に任せておけば、スムーズにできる場面でも不動産知識があまりない個人同士だと時間がかかったりわからなかったりする場面も多く出てくるでしょう。

注意
手数料を省ける分手間や時間が大きくかかる点もデメリットといえます。

不動産の個人売買ができる専門サイト

 

個人間売買は確かに金銭的なメリットは大きいのですが、デメリットもしっかりと理解したうえで行わなければいけないということが、すごく理解できました。

 
 

そうですね。 しかし、最近では、少しでも個人の取引を分かりやすくできるようにするサイトやアプリなども出てきていますよ。

 
 

どのようなサイトがあるのでしょうか。

 

ここからは個人売買専門のサイトを紹介していきましょう。

e-物件情報

個人が物件を掲載することができる不動産の広告サイトです。 掲載に関しては人日本全国可能で、購入までの流れや不動産取引に関する情報なども掲載しています。

売り物件は2020年4月現在で200以上の物件が登録されていて色々なタイプの不動産が閲覧可能です。 掲載料は発生しますが売買が成立しても、サイトに支払う手数料はありません。

物件に興味をもったお客様があらわれたら問い合わせなどに関しては、すべて相手方と直接行うことができます。 掲載料は下記の通りです。

掲載コース 掲載料(税込) 画像数
スタンダードコース 3,300円 なし
シルバーコース 6,600円 2点
ゴールドコース 11,000円 8点

参考:e-物件情報

家いちば

不動産取引をもっとシンプルに、というコンセプトのもと不動産情報を提供しているサイトが家いちばです。 こちらも個人が売りたい不動産情報を掲載して、直接買主を探すことができるサイトです。

こちらは掲載料は一切無料ですが、売買契約の成立時に費用が発生するシステムとなっています。 家いちばの手数料内訳は下記の通りです。

家いちばの手数料内訳
  1. 基本料金:売主⇒システム登録手数料として8万円
  2. 基本料金:買主⇒制約の基本料金6万円
  3. 売買成約の手数料

不動産会社が仲介に入る場合の仲介手数料率の半額がかかります。 家いちばの場合、すべてを個人間取引で行うわけではありません。 個人が行う場合に一番不安な点である契約関係については、専属の宅地建物取引士がメールなどによりサポートしながら契約のお手伝いを行います。

不動産の募集については個人間でも十分に行える作業ですが、契約に進むにつれて一般の人ではわかりにくい点が出てきます。 家いちばでは契約関係の不安な部分をサポートすることで個人間のトラブルを防ぎます。

不動産を個人売買する時の流れ

 

不動産の個人売買も少しずつ浸透していっているといった感じですね。

 
 

要は、さまざまな売買の方法に対応できるようになってきているということですね。

 
 

実際に個人売買を行うにはどのような流れになるんでしょうか。

 

ここからは個人売買の流れについて解説していきましょう。

売却の相場価格を調査する

まずはどの程度の価格で不動産が売買されているのかを知ることから始めましょう。 不動産にはさまざまな価格がついています。

不動産の様々な価格
  • 公示価格
  • 相続税評価額
  • 実勢価格

これらの価格がそれぞれの用途に合わせて設定されていますが、売買の相場を知るうえで一番大切な価格は実勢価格です。 実際にどれだけの価格で売買されているかが分かります。

調査の中で一番おススメできるサイトが国土交通省が発表している「国土交通省の土地総合情報システム」です。 こちらのサイトで地域の売買情報をチェックしてみましょう。 

書類を揃える

次に売買の際、最も必要となる書類関係を前もって集めておきましょう。 前述しました書類は必ず必要になる書類です。

書類 取得場所 備考
登記簿謄本 法務局 権利関係を確認します。
公図 法務局 土地の地図です。
固定資産税評
価証明書
市町村役所窓口 固定資産税を確認します。
登記済証または
登記識別情報
ご自身保有 ご自身の所有を確認します。
確定測量図 保有若しくは
法務局
境界や位置関係の確認資料
です。
取得時の書類 ご自身保有 売買に関するその他必要な
書類です。

この表を参考にして書類を前もって集めておくと、売買契約となった場合に慌てなくて済みます。

売却価格の決定

売却の相場が分かればいよいよ売却価格の決定です。 売却価格の決定についてワンポイントアドバイスがあります。 売却金額は売りたい金額より少し上げて募集するという点です。

というのも、ほとんどのケースで買主が現れた場合、値下げ交渉を行ってきます。 値下げ交渉に対応できる幅での価格で売却価格を設定しましょう。 一般的には売却金額の80%程度で値下げ交渉が入ります。

例えば2,000万円で売りたいのであれば売却価格は、2,500万円程度で募集を掛けると値下げ交渉にも対応が可能です。 値下げしてくれたという心理的な要因も買主に埋め込めて今後の取引がスムーズに流れやすいですよ。

 物件の募集

売却価格が決定したら次は募集作業へと移行します。 先ほど紹介した個人売買に特化した専門サイトである

e-物件情報

家いちば

などに物件の掲載を行い広く募集を行います。 家の状態もきれいにしておく必要があるでしょう。 というのもマンションなどの居住用不動産の場合、内覧の希望が出てくるからです。

部屋の中が乱雑な状態ときれいにしている状態では成約率に大きな差が出ます。 インターネットでの募集により、まずは物件が売られていることを周知させます。

そして、問い合わせがあった場合には内覧なども含め、すぐに対応できる状態にしておくことが早く売却できるコツです。

売買契約

物件の募集を行い購入希望のお客さんが現れ、交渉などもうまく運んでいくといよいよ売買契約となります。 売買契約書や重要事項説明書の準備が必要です。

重要事項説明書においては説明してくれる宅地建物取引士への依頼を行います。 売買契約書については行政書士に依頼するなど、いよいよ個人間売買の成功に向けて佳境に入っています。 売買契約における注意ポイントは3つです。

売買契約における注意ポイント
  1. 瑕疵担保責任の確認
  2. 住宅ローンの審査状況
  3. 金銭関係の再確認

上記のチェックを行い問題がなければ売買契約です。 売買契約時には手付金を買主に差し入れてもらうことを忘れないでおきましょう。 一般的には売買金額の2割程度といわれています。

MEMO
前もって書類を集め買主との下準備がうまくいっているとスムーズに契約は運びますので自信をもって契約にのぞみましょう。

売買決済

全てのやり取りを終えて最終的には売買決済という物件の引き渡しです。 手付金を差し引いた売買の残代金の支払いと同時に買主への所有権移転登記を行います。

もし売主に住宅ローンの抵当権が設定されている状態ならば、あわせて抵当権抹消手続きも行います。 権利関係の登録や抹消に関しては司法書士が行いますので司法書士への依頼も忘れないようにしておきましょう。

これで個人売買が無事成功となります。

まとめ

個人売買は手間もかかるし労力や神経も使うので、全く不動産のことが分からない状態であるならば、やはり不動産会社に仲介してもらうことをおすすめします。

しかし前もって勉強したうえで個人売買を行うことができると、費用面では大きな支出をおさえることができます。 近年では個人売買に特化したサイトやアプリで分からない点をフォローしてくれます。

またインターネットの普及に合わせて、不動産について勉強しやすくもなっているので個人売買も比較的やり易くなっているのです。

個人売買で一番大切なポイントは売主と買主の信頼関係です。 信頼関係がうまく築けていなければ個人売買は崩れてしまう可能性が非常に高いといえます。 まずはこの記事で個人取引について、さまざまな疑問点が解消できれば幸いです。