マンション売却の火災保険はどうする?解約日のタイミングや流れ、返戻金と権利譲渡について解説

この記事のざっくりしたポイント
  1. 火災保険を解約するベストのタイミングは物件を引き渡した日
  2. 火災保険の返金がされる人の条件とは
  3. 火災保険の解約返戻金を計算する方法は2種類のケースによって異なる

マンションの売却に頭がいっぱいになって忘れがちになるのが火災保険の解約です。 火災保険を解約すると契約期間にもよりますが解約返戻金としてお金が戻ってきます。 マンション売却の際、火災保険の解約について詳しく解説していきましょう。

 

マンションを売却してしまったら、自動的に火災保険も解約になるのでしょうか?

 
 

マンションを売却するとき、自分できちんと解約の手続きを取らなければ解約にはなりませんよ。

 
 

でも売ってしまうマンションなので、別に解約手続きを取らなくてもお金が返ってくるわけではないですよね。

 

実は火災保険を解約するときには解約返戻金としてきちんとお金が返ってきます。マンションの売却による火災保険の扱いについて説明していきます。

マンション売却後の火災保険はどうする?

マンションの売却後、火災保険は解約することでお金が戻ってきますので、解約の手続きを忘れずにとる必要があります。 いつ解約した方がいいのか? また、火災保険によって修繕できる項目などについて解説します。

物件の引き渡しが完了したら解約するのがおすすめ!

マンションを売却するとき、火災保険を解約するベストのタイミングは物件を引き渡した日です。 引き渡し前に解約してしまうと失効してしまい、もし火災が発生したときに被害の負担をするのは売主ということになります。

逆に買主は引き渡しまでにきちんと火災保険をかけておいてもらわなければいけません。 競売物件などを購入しようとしていると引き渡しまでに火災が起こったとしても火災保険に加入していないので購入自体が無効になります。

既に住んでいないから火災の心配はないと思って解約してしまうと他の被害により負担を強いられる場合があります。 住居の火災保険では、台風による被害や地震保険を付保していると地震被害の保険などいくつかのケースで対応可能です。

注意
基本的に引き渡しまでの修繕義務は売主が負いますので、引き渡しまではしっかりと火災保険を掛けておく必要があります。

マンション売却前には火災保険で補修することもできる

加入している火災保険の内容にもよりますが、雨漏りや外部からの物体落下といった事態による被害をカバーしてくれる場合もあります。 例えば、以前に起こった台風により修繕しなければいけない箇所を、売却までに修繕して引き渡さなければいけないときに費用が火災保険でカバーできるケースがあるのです。

どこまで遡及して火災保険が適用できるかは保険会社に確認しなければいけません。 売却前に修繕箇所が火災保険でカバーできるかどうかを確認しておくと余計な費用を抑える可能性が出てきます。

火災保険は解約手続き1週間程度で返金される

 

火災保険をうまく利用し、適切な時期に解約することで余計な費用負担を抑えることができるし、お金が戻ってくる場合が考えられますよ。

 
 

そうですね。 では引き渡し後に火災保険を解約したとすると、どれくらいでお金が戻ってくるのでしょうか?

 

火災保険の返金がされる人の条件

およそですが解約手続きを行った後、解約返戻金が戻るまで、約1週間程度を見込んでいたらいいでしょう。 これは保険の解約を行ってからではなく、解約請求書を保険会社が受け取ってから1週間程度ですので、解約を行ってから換算するともう少し日数がかかります。

返金される人の条件は火災保険の契約期間が残っていることが条件です。 長期一括でも1年ごとに火災保険を払い込んでいる場合も解約返戻金が戻ります。

火災保険解約手続き方法と流れ

解約手続きは以下の通りです。

火災保険解約手続きの流れ
  1. 保険会社に火災保険を解約する旨を伝える。
  2. 保険会社から解約請求書が届くので記入し返送する。
  3. 保険会社が受け取り不備の確認←受け取り(受理されてから1週間程度でお金が戻ります)

これで解約返戻金が戻ってくるということになります。 解約請求書に不備があると再度、記入ということになるので間違えないように記入しましょう。 また解約請求手続きに手間取ると、解約期間が伸びてしまい、解約返戻金の額が少なくなってしまうかもしれません。

MEMO
早めに連絡して手続きを行うことをおすすめします。

火災保険の解約日は指定できるので解約返戻金が計算できる

火災保険の解約日は解約請求書に記載できますので、引き渡し日を記入しておきましょう。 そうすると日にちが確定するので解約返戻金がどの程度なのかが計算できます。

解約日が簡単に設定できるので解約返戻金の計算はさほど難しくはありません。 計算方法については詳しく次で解説しますが、長期一括の場合と、1年ごとの更新の場合で は計算方法が異なりますので違いをしっかりと理解しておきましょう。

火災保険の解約返戻金を計算する方法は2種類のケースによって異なる

解約返戻金を計算する場合には2種類のケースがあります。

解約返戻金を計算する2種類のケース
  • 長期一括で火災保険金を支払っているケース
  • 1年ごとに火災保険金を支払っているケース

この2種類で計算方法が異なります。 ここからは2つの計算方法について詳しく解説しましょう。

火災保険料を1年ごとに支払っているケース

火災保険の保険料を1年ごとに支払っている場合、 計算方法は「年間保険料×(1-既経過期間に対する係数)」で計算します。 既経過期間の係数により返戻金額が変わります。

ここで、わからないのが既経過期間の係数です。 既経過期間に関しては保険の契約にいつ入ったのかという始期日がわからなければいけません。 始期日は保険証券に記載しているか、保険会社に直接問い合わせしても良いでしょう。 既経過期間に対する係数を表にしてみました。

既経過期間 係数 既経過期間 係数
1ヶ月 0.0833 7ヶ月 0.5833
2ヶ月 0.1666 8ヶ月 0.6666
3ヶ月 0.2500 9ヶ月 0.7500
4ヶ月 0.3333 10ヶ月 0.8333
5ヶ月 0.4166 11ヶ月 0.9166
6ヶ月 0.5000 12ヶ月 1.0000

では、この表をもとに解約返戻金がいくらになるのかを計算してみましょう。 1月1日にマンションの火災保険を更新して4月5日に解約したときの解約返戻金を計算します。

火災保険料は1万円でした。 1月1日から4月5日ですので既経過期間は4ヶ月になります。 ここで注意点を1点挙げるとしますと1ヶ月に満たない月は1ヶ月と起算する点に注意が必要です。 今回のケースでは4月は5日間しか経過していませんが解約返戻金の計算では1ヶ月と起算します。

既経過期間における係数が0.3333、計算式が「年間保険料×(1-既経過期間に対する係数)」なので、 10,000円-(1-0.3333)=6,667円となり、返戻金は6,667円となるのです。

MEMO
係数は全ての保険会社で同じというわけではありません。 保険会社で若干異なります。 このような計算方法で年間契約の場合の解約返戻金を個人でも計算ができるのです。

火災保険料を一括で支払っているケース

次に火災保険を一括で支払っているケースについて解約返戻金を計算しましょう。 一括払いの場合の計算式は「長期一括払保険料×未経過料率」で計算ができます。 5年一括払いを行った場合の未経過料率は下記の表に表します。

月数/年数 0年 1年 2年 3年 4年
1ヶ月 94% 76% 57% 38% 18%
2ヶ月 92% 75% 55% 36% 16%
3ヶ月 90% 73% 54% 34% 15%
4ヶ月 88% 71% 52% 33% 13%
5ヶ月 86% 70% 50% 31% 11%
6ヶ月 84% 68% 49% 29% 10%
7ヶ月 83% 67% 47% 28% 8%
8ヶ月 82% 65% 46% 26% 7%
9ヶ月 81% 63% 44% 25% 5%
10ヶ月 80% 62% 42% 23% 3%
11ヶ月 79% 60% 41% 21% 2%
12ヶ月 78% 59% 39% 20% 0%

例えば2年10ヶ月経過後に解約する場合は年数の2年、月数の10ヶ月がクロスするところを見ると42%になるので未経過料率は42%となります。

5年契約で10万円の火災保険に加入していたとすると「長期一括払保険料×未経過料率」にあてはめて計算してみましょう。 100,000円×42%=42,000円となります。 解約返戻金は42,000円となるのです。

1年ごとに支払っている場合と同様、1ヶ月を少しでも経過していると1ヶ月となります。 また表の未経過料率は保険会社によって若干ですが異なりますので注意が必要です。

MEMO
また長期一括の場合、毎年忘れずに1年に按分して経費算入の仕訳を行いましょう。

火災保険はマンション売却後に権利譲渡した方が良い?

 

火災保険の計算方法までよくわかりました。 でも火災保険ってそのマンションに付けているので、例えば買主さんに火災保険を渡すことはできるんでしょうか。

 
 

火災保険の権利譲渡というのですが、権利譲渡は可能ですよ。

 
 

解約するか?権利譲渡するのか?どっちがいいんでしょうか。

 

権利譲渡は基本可能だがマンション売主は解約した方が楽

火災保険の権利譲渡とは売主が今まで加入していた火災保険を、マンションの所有者が買主に変わった時点で名義変更して、権利を譲渡することです。 所有権が変わる前に手続きを行う必要があるので、早めに保険会社に連絡して確認する必要があるでしょう。

しかし売主の立場から考えると解約と権利譲渡どちらが良いのでしょうか。 火災保険は解約した方が売主にとってはメリットがあるでしょう。 一番の理由は、解約返戻金が受け取れなくなります。 また火災保険の部分で買主とのやり取りが多くなり、手間がかかってしまいます。

MEMO
上記のような理由により売主におすすめするのは火災保険の解約です。

契約している保険会社によってはそもそも権利譲渡不可なので注意!

どんな火災保険でも権利譲渡は可能なのでしょうか。 全ての火災保険が権利譲渡できるわけではありません。 契約している保険会社によっては、火災保険の権利譲渡を認めていません。

MEMO
もし火災保険の権利譲渡をしたい場合は必ず加入している火災保険会社に確認しましょう。

まとめ

マンションを売却するときにどうしても忘れてしまいがちなのが火災保険の解約です。 火災保険の解約を行うことで、売主は解約返戻金を受け取ることができます

しかしマンションの引き渡しまでは、売主が修繕義務を負いますので、必ず引き落としまでは火災保険に加入しておきましょう。 また台風などで被害を受けた修繕を売却時に修繕しておきたい場合も火災保険が利用できる場合があります。 解約をしないで、権利を買主に譲渡することも可能です。

マンション売却時には火災保険の解約や利用方法をしっかりと確認しておきましょう。 火災保険を解約すると解約返戻金が返ってきます。 計算方法は1年ごとの払い込みと長期一括では異なるので、本記事を参考にしてはいかがでしょうか。