外装にワンポイントを!木目軒天を選ぶポイントと注意点

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 軒は家の寿命を延ばし住み心地を良くする役割を担っている
  2. 現在の軒天で最もよく使用されいるのは不燃材であるケイカル版(ケイ酸カルシウム板)
  3. 日が当たらない軒天はワントーン明るいものを選ぶとメンテナンスしやすい

家づくりにおいて、目立たないながらも重要な役割を持つのが「軒」です。

軒は家の寿命を伸ばし快適性を高める効果があります。家の中からも見ることができる外装であることから、軒の下の部分である「軒天」をどのようにするかでデザイン性が全く変わります。

そこで今回は、「軒」の役割と素材選び、デザインをこだわることで生まれる効果をご紹介します。

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軒天とは?

早速ですが、軒天って何でしょうか。

事務員

浜崎編集長

あまり聞きなれない言葉ですよね。屋根が外壁から飛び出している箇所を「軒(のき)」と言い、その下側部分のことを「軒天(のきてん)」と言います。軒は雨や日光から外壁を守る効果があるため、湿気に弱い木造住宅では必ずと言ってよいほど設置されます。普段気にすることのない軒ですが、実は家の寿命を伸ばし、住み心地を良くする役割があるんです。

軒の役割

軒が家にもたらす主な効果は以下の通りです。

  1. 雨除けや日除け
  2. 火事の際の燃焼防止
  3. 軒裏換気による防湿

一つずつ説明していきましょう。

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雨除けや日除け

軒の主な役割は雨や日光を防ぐことです。

特に木造住宅の場合、構造体である木材は水に弱い性質を持ちます。外壁が劣化し水が浸入すると家の寿命が著しく短くなりますので、軒は必須と言えます。

軒は窓に吹き込む雨や差し込む日光を防いでくれます。

MEMO

日光については夏場の温度上昇を抑制する効果があるため、快適な居住環境にも一役買っているのです。

火事の際の燃焼防止

火災が発生した際、炎は窓を突き破り上昇しようとします。この際、軒天部分に不燃性の材料を使っていれば、屋根まで炎が上がるのを食い止めることができます。火が屋根裏に移るとあっという間に全体に燃え広がってしまいますので、軒天は防火の上でも一役買っています。

軒裏換気による防湿

木造住宅では、換気が出来ていないと温度差による結露で木材が水分を吸ってしまい、劣化が進んでしまいます。軒天と棟に換気口を作ることで、屋根裏にこもった湿った熱い空気を外に出すための自然な空気の流れができます。これにより、屋根裏の結露を防ぎ住宅の寿命を伸ばすことができます。

軒天は見た目の印象だけでなく、家の寿命や安全性にも大きな影響を与える大事な部分なんですね!

事務員

浜崎編集長

そうなんです。最近はデザインやコストを理由に軒天がない家もありますが、軒天がないと「直射日光が入りやすく夏室内が暑くなりすぎる」「窓から雨が入りやすく気が付いたら室内が濡れてしまった」なんてことも起きてしまいます。そのような後悔を生まないためにも、よほどのこだわりがない限り、軒をつけることをおすすめします。

軒天に使われる主な材料とその特徴

浜崎編集長

軒天の建材には大きく分けて不燃材、木材系の材料、金属系の材料の3つがあります。種類によってコストや機能が異なるため、一つずつ検討して最適なものを選びましょう。
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不燃材

現行の住宅で最も使われる頻度が高いのが、不燃材であるケイカル板(ケイ酸カルシウム板)です。

MEMO

不燃材とは、火熱が加えられた際に発火が遅い防火対策の材料を指します。

その中でもケイカル板は耐火性、防湿性、耐久性に優れ、かつ費用が安い特徴があります。火に強いのはもちろん、腐食しないというケイ酸カルシウムの特徴から湿気に強く、建物を雨水から守ってくれます。後述する木材系の合板、ベニヤ板と同じ費用帯で購入できるにも関わらず、優れた機能性で人気の建材です。

不燃材系で他の建材としては、スラグ(鉱物)に石膏を混ぜて作られているスラグ石膏板、セメントと補強繊維から作られた繊維強化セメント板(スレートボード)などもあります。スラグ石膏板は安価ながら耐水性に欠ける、スレートボードは強度が強いながらも高価かつ重いということもあり、やはりケイカル板が主流です。

木材系の材料

木材系の建材としては、合板、ベニヤ板があります。安価な値段であることから以前は一般的な軒天の材料として広く使われました。しかし、耐水性、耐火性がなく、定期的な張替えや補修が必要となることから、ケイカル板が出てきた昨今では使われることは少なくなっています。

経年劣化の観点から、古い家の軒天の材料を木材からケイカル板などの不燃材にリフォームする事例もあります。基本的には前述した不燃材をおすすめします。

金属系の材料

ガルバリウム鋼板やアルミスパンドレル、エスジーエル鋼板などの加工した金属板です。金属板は耐火性、耐水性、耐久性ともに優秀な建材である一方、高価なことからあまり一般住宅に用いられることはありません。

金属板は、屋根カバー工法で用いられることが多い建材です。屋根カバー工法とは、古い屋根の上に防水シートと軽い金属製の屋根を張ってかぶせるリフォーム方法のことを指します。

MEMO

古い屋根を剥がす手間がない分費用と工期を圧縮でき、よく利用される屋根のリフォーム方法です。

軒天を木目にするという選択肢

軒天は室内・室外からも見ることができる箇所のため、デザイン次第で快適な居住空間を作り出すことができます。

例えば、天井が白色の場合、軒天も一続きの白色にすれば、部屋が外まで続いているように感じられ、空間を広く見せることができます。また、軒天を木目にすれば、屋外の庭木とマッチしたナチュラル感のある家の雰囲気を演出することができます。

軒天を木目にするには、本物の木材を使う方法や、木目がプリントされた不燃材や金属板を使う方法があります。質感や雰囲気は圧倒的に木材が優れていますが、軒天は外部のため家の内部より劣化は早くなります。

注意

雨や直射日光が当たりづらい場所といえども、メンテナンスを怠ると木材が腐食する可能性もあります。慎重に検討しましょう。

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軒天の色はワントーン明るいものを選ぼう

軒天に使う色は、壁や天井に使う色よりもワントーン明るくことをおすすめします。

これは、軒天部分には光が当たらない為、ワントーン暗く見えてしまう特徴があるからです。カタログで色を確認する場合には、軒天と同じく日光が当たらないようにして選ぶと、実際のイメージに近づくでしょう。

軒天の色は圧迫感のない白系が人気ですが、落ち着いた雰囲気を演出したい場合に暗い色を選ぶ方もいらっしゃいます。しかし、軒天の色が暗いと砂ぼこりやクモの巣などが目立ってしまいます。高所ということもあり、メンテナンスできるかも含めてよく検討しましょう。

軒天は室内から見えるだけでなく外からもよく見える場所でもあります。色の選び方、外壁や屋根の色をうまく組み合わせてお洒落で住み心地の良い家にしたいですね!

事務員

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まとめ

今回は、家を守る大事な役割を持つ軒天についてご紹介しました。

軒天は雨や日光から家を守り寿命を長くしてくれる存在です。火事の際の延焼防止の役割もあり、木造建築の場合は軒裏換気を付けることによって家の湿気も逃がしてくれます。

材質には不燃材、木材、金属材と種類がありますが、昨今では安価で性能の良い不燃材がよく利用されています。

軒天は見た目だけではなく、家の寿命や住み心地も左右する大切な存在です。素材の違い、それによるメンテナンス方法の違いもきちんと理解した上で、最適なものを選ぶようにしましょう。