団地リノベーションの魅力と注意点とは?

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 「団地」とは共同住宅の集合体を指す言葉
  2. 販売中の団地を探すには、インターネットで物件検索をするのが簡単
  3. 団地リノベーションには、条件を満たせば補助金やローン減税を活用できる

最近、無印良品とURがコラボした団地リノベーションプロジェクトが注目され、若者を中心とした多くの入居希望者から大きな反響を呼んでいます。コロナ禍の中でリモートワークが当たり前となった今、郊外に住まいを求める人も増えてきました。そこで、改めて郊外にある団地の良さが見直されているようです。

徳田編集者

今回は、団地リノベーションの特徴、メリット・デメリットについて解説します。

 団地の魅力と懸念点

「団地」とは、もともとは「一団の土地」を指す言葉ですが、共同住宅の集合体を指す言葉です。一般的には、昭和40年代の高度成長期から平成の始めごろまでにUR都市機構(住宅都市整備公団・都市規範整備公団)によって建設された公団住宅、公営住宅を指すことが多いようです。

徳田編集者

共同住宅にはアパート、マンションなどさまざまな呼び方がありますが、法的に定まった呼び方はありません、一般的に木造もしくは鉄骨造の2~3階建ての小規模の共同住宅をアパートといい、RC造、SRC造の大規模な共同住宅をマンションといっています。

団地というのはこのような構造上の違いによる呼び名ではなく、同じ土地区画に開発された公団住宅の集合体を指していいます。大規模な団地には店舗や公園が併設されているところも見受けられ、一つの街を形成していることが特徴です。

団地って、正直古びたイメージがあるんですが、どんなところが魅力なのでしょうか?

事務員

徳田編集者

団地の中にはかなり古いものもあって、空室が目立つ物件が多いのも事実。でも、最近ではきれいにリノベーションすることで、生まれ変わっている物件も多いよ。昭和のレトロさと現代の家具や建具をミックスさせることで生み出される新しい住空間が、若者に新鮮に映るのかもしれないね。
価格が安いということが人気に関係しているのでしょうか?

事務員

徳田編集者

そうだね。郊外にある築古の物件には、それほど住宅資金のない若者にとって手ごろな価格帯のものが多く、リノベーション費用を加味しても予算内でできる選択肢を増え、希望を叶えやすいのは大きなメリットと言えるだろうね。
古い構造だから住みにくいということはないのでしょうか?

事務員

徳田編集者

構造自体は鉄筋コンクリート造だから、築30年、40年経っている物件でも、まだまだ使えるものが多いんだ。でも、エレベーターがない団地が多いし、天井高が低いところが多いのも事実だね。そういったところが気になる人には向かないかもしれないね。

 団地をリノベーションするのに必要な期間と費用 

団地リノベーションの工期はリノベーション工事の内容によって様々です。間取りや内装の変更を伴うフルリノベーションになると、工期も長くなってきます。一般的には1か月から5か月ほどの期間がかかります。一方で、水回りや、一部の部屋の内装の変更にとどまるならば、1か月足らずで工事が完了することもあります。

リノベーションの費用については、リノベーション部分の床面積によって大きく異なります。フルリノベーションの場合には60㎡ほどの床面積のもので、600万円から900万円が相場です。

MEMO

キッチンやトイレ、バスなどの水回りを変更するときには、どのようなグレードのものを設置するかで変わってきますが、トイレは内装変更を含めると20万円から50万円、キッチン、バスはそれぞれ50万円から150万円ほどの費用を見込んでおいた方がよいでしょう。これらのリノベーションに加えて、防音や断熱効果のある床材にしたり、吊戸棚やクローゼットなどの家具を追加したりすると、さらに費用がかかってきます。

団地リノベーションのメリット

団地リノベーションのメリットは、購入資金の負担が軽減されるだけではありません。昔ながらの団地の建物のつくりの中に、現代的でおしゃれな建具や床材、家具を配置することによって、新しい空間を楽しむことができます。

徳田編集者

また、団地は郊外にあることが多く緑あふれる雰囲気が感じられること、また生活施設や公園、教育施設が身近にあるところが多いのも魅力的です。

団地は綿密な都市計画に従って一から開発されたところが多いために、住宅のみならず生活施設や公園などの周辺施設を配置して一体の街として開発されています。当時ニュータウンといわれた所以です。

 リノベーション済みの団地を購入するメリットとは?

現在では「無印良品のリノベーション」などリノベーション済みの団地が分譲されています。リノベーション済みの団地は、基本的にはスケルトンリノベーションが施されており、内装は新築そのものです。また、内装や建具、家具が洗練されたコンセプトのもとで配置されているために統一感があり、現代的な住空間を生み出しています。

では、いくつかの分譲例をご紹介しましょう。

事務員

(事例1)車返団地(東京都府中市 )

床面積:48.99㎡

販売価格:2,100万円(コーディネート家具付き)

敷地内に木々があふれ緑に囲まれた住宅ですが、窓からの視界は開けており、開放感のある住宅です。フルリノベーションによる間取の変更で、玄関部分を小さめにする代わりに、玄関からリビングに続くホールを広く取っています。リビングとダイニングはカーテンでゆるく仕切ることもできますが、一体として使うことも可能です。場合によっては、一時的にリビングをワークスペストしても活用できます。

徳田編集者

最上階の部屋で熱効率が気になりますが、断熱材やインナーサッシの導入によりエコで快適な住空間を実現しています。
(事例2)港南台めじろ団地(神奈川県横浜市)

床面積:51.18㎡

販売価格:1,990万円(コーディネート家具付き)

近くに無印良品の大型店舗がある港南台の物件は、東西向きにある窓を最大限活用する造りになっています。柔らかい光が部屋に差し込んで心地よいのにくわえ、柔らかい風が東西を吹き抜けるために風通しが気持ちよい空間になっています。

こちらも、リビングダイニングの一部をカーテンや家具などで仕切ることで、子供の成長に合わせて小さな部屋にししたりやワーキングスペースとして活用するなどさまざまな使い方が可能です。

 団地を買ってリノベーションするメリットとは?

リノベーション済みの団地はまた販売数が少ないために、立地や床面積など希望にあったものが見つかるかという点が難点です。自らリノベーション向きの団地を探した方が、希望の物件が見つかりやすいといえます。また、販売されている中古の団地を購入して、リノベーションした方が、リノベーション済みの団地を購入するよりも費用をコントロールしやすく、結果的に安くつく場合も多いようです。

徳田編集者

こちらも、リノベーション事例を2つ紹介しましょう。
(事例1)千葉エリア団地

床面積:51.18㎡

リノベーション費用:990万円

こちらの事例はスケルトンリノベーションの事例ですが、3DKの古めかしい間取りを一新し、1LDKにしました。床やキッチン材に無垢材をふんだんに用いるともに、天井はスラブ材(コンクリート)をむき出しにするという大胆なデザインで、現代的な住まいに仕上げています。

(事例2)東京都江戸川区団地

床面積:90㎡

リノベーション費用:1200万円

こちらは5DKの間取りの広めの団地を大胆に2LDKにフルリノベーションした事例です。大家族用に細かく仕切られた壁を取り払い、大きな子供部屋と寝室にしました。子供部屋には室内窓を設けて子供の様子がわかるようにしたのも工夫の一つです。大きなリビングダイニングキッチンはカフェをイメージした広々とした空間にし、大きな窓からはふんだんに光が差し込みます。

  団地リノベーションで活用できる補助金・減税制度

団地リノベーションを行うときには、条件を満たせば補助金やローン減税を活用できます。

まず補助金についてですが、省エネ性能の高い建材を用いた工事には上限125万円(令和3年度 次世代省エネ建材の実証支援事業)、高性能の断熱材を用いた工事については上限15万円(既存住宅における断熱リフォーム支援事業)の補助金が用意されています。

いずれも、公募期間中に補助金の申し込みが必要です!

事務員

ローン減税については、居住部分の工事費用がリノベーション費用の総額の2分の1以上であること、リノベーション費用が100万円以上であることなどの要件を満たすこと、以下の工事を含むことなどの条件を満たすことで活用することが可能になります。

ローン減税の条件
  • 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕又は大規模の模様替えの工事
  • 家屋のうち居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
  • 建築基準法施行令の構造強度等に関する規定又は地震に対する安全性に係る基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事
  • 一定のバリアフリー改修工事
  • 一定の省エネ改修工事

ローン減税が適用されると、40万円を限度に年末住宅ローン残高の1%が所得税から控除されるため、資金的な負担が軽減されます。ローンを使ってリノベーションを行うときには、ローン減税の要件を満たすかどうか、工事業者に相談しながら工事内容を検討しましょう。

 団地リノベーションのデメリットと注意点

団地リノベーションにはさまざまな魅力がありますが、中には団地リノベーションにそぐわない物件もあります。

徳田編集者

例えば、古い物件になると、壁式構造といって壁で建物全体の構造を支えているものがあります。このような物件は、構造上取り払うことができない壁が存在するものがあるため注意が必要です。また、築古の物件は取壊しや建て替え、大規模修繕が話し合われている物件も多いため、事前の調査は綿密に行うことが肝要です。

現地見学の時には、昭和の時代に建築された団地にありがちな特徴について気にならないかをチェックすべきです。特に以下の点については、確認しておきましょう。

昭和の時代に建築された団地にありがちな特徴
  • 天井高が低い
  • 窓が小さい
  • エレベーターは設置されていない、階段の上り下りは気になる
  • 水回りの場所が適切でない、狭い。

 団地の探し方

販売中の団地を探すには、インターネットで物件検索をするのがもっとも簡便な方法です。いち早く情報を得たいのであれば、公営住宅を扱う機関から直接販売を依頼されている不動産会社に直接問い合わせてもらい、販売物件が出たときには連絡をもらえるよう手配するという方法もあります。

MEMO

リノベーション済みの団地物件はまだ販売数が少ないために、無印良品などリノベーションを手掛けている会社のホームページを見て、現地見学会などに積極的に参加して情報収集するのが効果的です。今後、リノベーション済みの団地物件を手掛ける会社が増えてくることが予想されますので、情報をこまめにアップデートしておきましょう。

費用が限られていてもおしゃれな住まいは手に入れられる!

近年、リノベーションのデザインや建材の質が上がっているため、費用が限られていても洗練されたおしゃれな住まいを手に入れることを諦める必要はありません。団地リノベーションも検討に加えることで、より選択肢の幅が広がることでしょう。

リノベーションを手掛ける会社では、現地説明会を開催したりモデルルームを用意したりしていますので、積極的に見学に行ってみることをおすすめします。きっと理想の住まいのイメージが広がるはずです。