- オール電化の電気代をあらゆる角度から検証
- 導入を迷っている方は導入コストとランニングコスト両面からの検討が必要
- 「オール電化なのに電気代が高い」と感じているなら、工夫次第で安くなる
調理、給湯、暖房などすべての熱を電気でまかなうオール電化は、多くの住宅で採用される設備です。一般的に「オール電化は固定費が安くなる」と言われていますが、果たして本当なのか疑問を抱いている人も多いでしょう。あるいは「オール電化なのに電気代が高い」と感じている人もいるかもしれません。
この記事では、オール電化の電気代を徹底検証しました。世帯人数や電力会社による違い、ガス併用との比較など、あらゆる角度からオール電化の料金を分析しています。
電気代の節約ポイントも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
オール電化の電気代とは?1人暮らしは損をする
オール電化の電気代は、ガスを併用する場合に比べて高い傾向にあります。しかし、ガス代が一切かからないので、トータルで見れば安く済む可能性が高いです。
ただし、世帯の人数によっては割高です。以下は関西電力が調査したオール電化住宅の世帯別⽉間平均光熱費(集計期間:2020年〜2021年4⽉)と全国の世帯の光熱費の平均を比較した表です。
世帯人数 | オール電化住宅の電気代(平均) | 全国平均光熱費 |
1人 | 11,222円 | 11,383円 |
2人 | 14,049円 | 19,168円 |
3人 | 15,588円 | 22,503円 |
4人以上 | 17,416円 | 23,477円 |
上の表を見てわかる通り、2人以上の家庭は全国平均よりもオール電化の電気代の方が安くなっています。しかし、1人暮らしに注目するとオール電化とほぼ変わりません。
【電力会社別】オール電化向け電気料金プランの電気代平均額
また、各電力会社はオール電化向けの電気料金プランを用意しています。それぞれ公表されている年間平均電気代・月間平均電気代をまとめました。
電力会社 | プラン名 | 年間平均電気代 | 月間平均電気代 |
北海道電力 | eタイム3 | 281,577円 | 23,465円 |
東北電力 | 時間帯別電灯A | 183,252円 | 15,271円 |
東京電力 | 電化上手 | 160,236円 | 13,353円 |
中部電力 | Eライフプラン | 210,576円 | 17,548円 |
北陸電力 | くつろぎナイト12 | 183,804円 | 15,317円 |
関西電力 | はぴeタイム | 201,264円 | 16,772円 |
四国電力 | 季節別時間帯別電灯 | 156,144円 | 13,012円 |
九州電力 | 電化でナイト・セレクト | 167,760円 | 13,980円 |
参照:オール電化住宅の電気代は?メリット・デメリット、節約方法を解説|でんきナビ|Looopでんき公式サイト
事務員
中村編集者
オール電化と一般住宅(電気・ガス・灯油含む)の電気代を比較
オール電化住宅と電気の他にガスや灯油も使用する住宅ではどちらがどの程度電気代が安く済むのでしょうか。
平均年間光熱費 | 平均月間光熱費 | |
オール電化住宅 | 約191,344円 | 15,945円 |
電気・ガス・灯油併用住宅 | 約198,437円 | 16,536円 |
1ヶ月あたり591円、年間に換算すると7,000円余りの差が生じます。10年使用し続ければ大きな差になりますね。ただし導入コストはガス併用の方が安いです。オール電化の導入を迷っている人は、導入コストとランニングコスト両面から比較して検討してください。
オール電化と併用してガスも使用している場合
「ガス火で調理したい」という強いこだわりがある人は、給湯・暖房は電気、調理はガスを使うのも手です。1kWh当たりのエネルギーコストを計算すると、ガスの方が安いことは確かです。
⇒出力(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量(MJ/㎥)×ガス料金(円/㎥)
⇒消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)
上記の計算式に当てはめると、強火(2.97kW)・中火(1.68kW)・弱火(0.38kW)を1時間使用した場合のガス代はそれぞれ35.64円、20.16円、4.56円となります(東京ガスの場合)。
対して、IHクッキングヒーターの電気代は、昼間8.25〜88円、夜間6.15〜65.6円となり、ガスコンロよりも費用がかかることがわかります(料金はLooopでんき「スマートタイムプラン」にて試算)。
ただし、ガスコンロを使用するならガス会社へ基本料金を支払わなければなりません。その点も踏まえて比較検討することをおすすめします。
中村編集者
オール電化の電気代を節約する方法
ここまでオール電化住宅の電気代の平均値を見てきました。「平均よりも電気代が高い!」という家庭は、節約の術を知っておくと役立つかもしれません。5つの節約ポイントを紹介するので、ぜひチェックしてください。
夜間使用料が安いプランを選ぶ
まずは、適切な電気料金プランで契約しているか確認してみてください。各電力会社はオール電化家庭用のプランを用意しています。ポイントは夜間の電気使用料にあります。オール電化住宅では、日中の使用に備えてエコキュートの湯沸かしや暖房機器の蓄熱などを夜間に行うのが一般的です。そのため、オール電化用の料金プランは夜間の電気料金が安く抑えられています。日中も夜間も使用料が変わらないプランを選んでいると、電気代は高くついてしまいます。以下各社のオール電化用プラン名をまとめたので参考にしてください。
・東北電力:よりそう+ナイト8、よりそう+ナイト10、よりそう+ナイトS
・東京電力:スマートライフS、スマートライフL
・中部電力:スマートライフプラン
・北陸電力:くつろぎナイト12
・関西電力:はぴeタイムR
・四国電力:でんかeプラン、でんかeマンションプラン
・九州電力:電化でナイト・セレクト
電気代が安い・高い時間を見極める
オール電化用の電気料金プランを選んだら、次はどの時間帯の電気代が安いのか、あるいは高いのかを把握しましょう。
例えば関西電力の料金プラン「はぴeタイムR」では、夏季の平日午前10時~午後5時は28.96円/1kWhに設定されていますが、午後11時~翌日午前7時は15.20円/1kWhです(参照:はぴeタイムR|電気|関西電力 個人のお客さま)。日中と夜間で2倍近く料金が変わるわけです。そのため、例えば洗濯乾燥や浴室乾燥など消費電力の大きい家電製品を使用する際はタイマーを活用し、23時以降に作動するよう設定すれば電気代を安く抑えられます。
ここでは関西電力のプランを例に挙げましたが、電力会社によって夜間料金が適用される時間帯が異なります。ご自身が加入するプランをしっかり確認してください。
電気給湯器や蓄熱暖房機の設定を適切に設定する
電気給湯器や蓄熱暖房機の設定も確認しておきましょう。湯沸かしや蓄熱が電気使用料の安い時間帯に行われるように設定されていれば問題ありません。例えばエコキュートは、各電力会社の電力料金メニューごとに割り当てられた契約番号を設定しておくだけで夜間に沸き上げされます。非常に簡単な動作なので、すぐにでも確認しておくとよいでしょう。
消費電力の大きい家電製品について知っておく
消費電力の大きい家電製品は特に使用量の安い時間帯に使用するようにしましょう。一般的な家庭にあり毎日使う家電製品のうち、消費電力が特に大きいものをまとめました。
・電子レンジ:1,400W
・アイロン:1,400W
・ジャー炊飯器:1,300W
・浴室乾燥機:1,290W
・温水洗浄便座:1,200W
・ハロゲンヒーター:1,200W
・洗濯乾燥機:1,100W
・ドライヤー:1,000W
参考:ピークに賢くみんなで節電
例えば浴室乾燥は夜中に行う、午前7時までに炊飯するといった工夫が節約につながります。また家電製品の使用時間を短くすることも大切です。
IHクッキングヒーターに適した調理器具を使う
上記を見てわかるとおり、IHクッキングヒーターは特に消費電力が大きいです。しかし、一般的な家庭では日中〜夕方に使用することが多いので、どうしても電気代がかさむ原因となってしまいます。そこで、調理器具にも工夫をしてみましょう。熱が伝わりやすい底が平らな鍋や短時間で調理できる圧力鍋はおすすめです。
中村編集者
中村編集者
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まとめ
オール電化の電気代を徹底検証しました。ご家庭の電気代と比較していかがだったでしょうか。もし「オール電化なのに電気代が高い」と感じているなら、電気料金プランを見直したり、エコキュートや蓄熱暖房機の設定を確認したりしてみましょう。電気料金の高い状況で使用していたなら今すぐ設定を変えることです。また、消費電力の大きい家電製品を知り、使用する時間を工夫することも有効でしょう。本記事で紹介した方法を生活に取り入れ、ぜひ節約に役立ててくださいね。