建売住宅とは?注文住宅との違いや両者のメリット・デメリット、失敗しないチェックポイントを解説

この記事のざっくりしたポイント
  1. 建売住宅と注文住宅の違いとは
  2. 建売住宅は購入までの手間をできるだけ省きたい人に向いている
  3. 建売住宅の購入で失敗や後悔しないためのチェックポイントとは

これから家を買いたいと考えて建売住宅を検討しながら、そのメリットやデメリットが気になっている人は多いのではないでしょうか。 新築の一戸建て住宅を買うときに建売住宅と注文住宅という選択肢がありますが、費用や手間の違いや自分にはどちらが向いているのか多くの気になる点を解説します。

建売住宅と注文住宅それぞれの違いとメリット・デメリットを比較し、住宅購入に役立ててください。

建売住宅とは?

建売住宅という言葉が住宅売買において一般用語となっています。 どういう定義に当てはまるものを『建売住宅』と分類されるでしょうか。 注文住宅との違いや、建売住宅に必要な諸費用を解説させていただきます。

建売住宅と注文住宅の違い

戸建て住宅を購入することを検討する場合いくつか方法があります。

戸建て住宅の購入方法
  • 土地を持っていたり土地を買ったりした人が、その土地に新たに住宅を建築する
  • 建築用の土地を持たない人が、土地と一緒に売られている戸建てを買う

土地と住宅がセットとして売り出されているのが建売住宅です。 土地を用意できる人が希望の広さや間取りで業者に依頼して建設するのが、注文住宅です。

それぞれにメリットやデメリットがあり家族構成や年齢、資金などで建売住宅と注文住宅のどちらが向いているか、それぞれ違いがあるので詳しくは後述いたします。

建築方法や工期、希望が通るかどうか建売住宅と注文住宅の違いは、以下の表にしています。

  建売住宅 注文住宅
価格 安い 高い
間取りの希望は 設計建築の上販売で選べない  建ぺい率や容積率の範囲内で選べる
業者を選べるか 選べない 土地購入時に建築条件付きでなければ選べる
建築工法の希望は 建築後の販売で選べない 希望の工法で建築可能
土地探しの手間 住宅とセットで手間不要 持っていなければ探す必要がある
工期 1ヶ月~2ヶ月 6ヶ月ほど
保証期間 基本的には10年 基本的には10年

建売住宅の諸費用

建売住宅を購入する場合は土地と住宅がセットになった価格での売買代金が基本として必要です。 それ以外に購入に関する手続きの諸経費や税金を含めて準備しておかなければなりません。

手付金

これは売買契約が成立したときに支払うもので、住宅ローン実行の際に返金されます。 金額の目安は購入額の5%~10%です。 もしも契約をキャンセルした場合には、この手付金は返済されないのでご注意ください。

印紙税

不動産購入時には売買契約書を作成します。 この売買契約書に貼る印紙によって納税する形となります。 契約した住宅の金額によって金額に差が出ますが、1~2万円が目安です。

仲介手数料

住宅購入時に不動産会社を介したときに仲介会社としての不動産会社への手数料を払うことになります。 物件価格×3%+6万円+消費税が上限と定められています。 これは上限金額で定額ではないので交渉することで値下げも可能です。

MEMO
ハウスメーカーから直接住宅を購入した場合には仲介手数料は不要です。

登録免許税

建売住宅の購入により、その「土地と建物」は購入者の所有物となります。 つまり所有権が移る手続きである『所有権移転登記』が行われます。 この手続きを行うときに、建売住宅の所有者となった人には購入した物件価格の1%程度を目安とした『登録免許税』が課せられることとなります。

諸手続きを個人がするのは難しいため司法書士に依頼することが一般的となりますが、この場合には司法書士費用が必要です。 また高額住宅ローンを長年かけ続けることで支払いが不可能になることも踏まえ、ローン保証料や団体信用生命保険料という費用も上乗せとなります。 金額はそれぞれ確認してください。

建売住宅のメリット・デメリット(注意点)

建築済住宅を買うことでの良さも、また欠点もあります。 建売住宅のメリット、デメリット、それぞれを解説していきます。

建売住宅のメリット

土地と戸建て住宅がセットになって販売されているため、まず土地を探す段階からの手間と諸手続きを省けます。 購入に関する煩雑な諸手続きも売主の設計建築プランに基づいた流れに則り、比較的簡単でスムーズに進みます。

土地を購入しその後建築をする場合には、それぞれの手続きが何段階にも分かれ何度も業者と対面するわずらわしさがありますが、建売住宅を購入した場合はこの流れを簡略化できます。

土地や建物の購入、建築に関してあまり知識がない場合でも不動産会社に任せて戸建てを買うことができるのが、建売住宅購入の大きなメリットでしょう。 まだ更地の間に販売される場合に購入した場合、工期が短いため早く入居できるという良さもあります。

建売住宅のデメリット(注意点)

住宅に対し間取りや工法、設備に希望があったとしても建売住宅にそれを要求することはできません。設計から建築まで業者が決まっていることがほとんどで、まだ建築前でオプションが取り入れられていない限りは買い手が口を挟むことは無理と考えたほうがいいでしょう。

また狭い土地に数軒の家を建てて販売することが多い建売住宅は手狭な印象を持たれがちです。同敷地の隣家と間隔があまり空いていないため、閉塞感の原因にもなります。

施工途中も内部を確認できないため、低品質な建売住宅を買ったときに入居するまで気づかないというトラブルも起きやすくなります。保証期間は設けられていますが入居後に壁のひび割れが見つかったり各設備に不具合が起きたり、建築施工中にチェックができないことが原因のトラブルと直面する可能性もあります。

注意
家族が増えた、成長したことで手狭さを感じるようになっても増改築が難しいのが難点です。

注文住宅のメリット・デメリット(注意点)

土地を買った人、もともと持っている人がそこに家を建てる注文住宅という方法ですが、こちらのメリットとデメリットも紹介します。

注文住宅のメリット

注文住宅の場合は間取り設計から建築まで一貫して入居者の希望に沿った家を造る方法になり、家族構成や人数、年齢層に合った戸建てを建てることができます。

MEMO
小さなお子さんや高齢者、障害のある方に合わせたバリアフリーや平屋、エレベーター設置も可能です。 お子さんの成長に合わせ同室にしている子ども部屋を間仕切りなどで分けるよう最初に設計しておくこともできます。

採光や風通しを考えた設計で希望に沿った家を建てられるため満足度が高い住宅購入になります。

注文住宅のデメリット(注意点)

土地と住宅建築費が別になりセット販売で業者も決められている建売住宅と違い、費用が高くなり手間もかかります。平均して約半年かかる工期が、人件費がかかることも割高になる理由です。

購入から建築、引き渡しまで何度も業者と対面し立ち会わなければならない手続きが多く、家族の誰も仕事を休めない場合は大変な作業になるでしょう。 街中で好条件の空地を探すことが難しく郊外を選ぶことが多くなり、通学や通勤の足の便から生活に支障が出るケースもあります。

建売住宅と注文住宅に向いてる人の特徴と向いていない人の特徴

建売住宅に向いている・向いていない人の特徴

建売住宅は購入までの手間をできるだけ省きたいと考えている人に向いています。 既に設計されている家、もしくは建築済みの戸建てを買うので、家の間取りを考えたり建材や設備の発注や調整で業者と何度も打ち合わせをしたり建築面での手間が一切かかってきません。

費用を抑えたい、できるだけ安く戸建て住宅を買いたいと考える人にも建売住宅が向いています。 土地と一戸建て住宅がセット販売であり、あらゆるコストが含まれた価格で売り出されるので戸建て購入費用としては安くあがります。

また建売住宅の多くは狭い土地に数軒を建てて売り出すため街中で買えるというメリットがあり、現在暮らしている地域からあまり離れたくない、郊外には出たくないと考える人にも向いているでしょう。 部屋をリフォームしたり増改築したりする予定がある、そう希望している人は広さの制限がある建売住宅は向かないでしょう。

家族構成がまだこれから変わる可能性がある人も、まずそれを考えるのが先です。夫婦で建売住宅を購入して入居し子どもが増えて、さらに実家の両親も引き取らなければならなくなるなど予定が今後変わることを考え、その家で暮らしていけるか考えたほうがいいでしょう。

注意
また生涯その家に住むことを希望しても三階建てが増えている建売住宅では、高齢になり階段の昇り降りができなくなって転居することになったというケースも少なくありません。

注文住宅に向いている・向いていない人の特徴

家族構成や生活に合わせた暮らしやすい家がほしいという人に、注文住宅は向いているといえるでしょう。 お子さんの人数、高齢の同居者がいるか、ペットを飼っていればその種類や大きさに合わせ間取りを設計できます。

低アレルゲンの壁紙を使ったり滑らない床材を取り入れたり、環境からの影響から疾患がある人にもいいでしょう。 車いす利用のため個人住宅エレベーターを設置したいと思っている人も、注文住宅なら家のどこに設置するか自由に決められます。バリアフリー化として段差をなくし、スロープや手すりの設置も可能です。

MEMO
屋根や壁、ドアなど色や形にこだわる人は一から選べる注文住宅が向いています。

逆に注文住宅を避けたほうがいい、向いていない人というのはどのような人でしょうか。

住宅購入の予算を抑えたい場合には費用がかかりすぎる注文住宅は避けるべきでしょう。 長い工期の間に多くの人手が関わって完成する注文住宅は、その人件費も含まれるため安いとはいえません。

また仕事が忙しく業者との打ち合わせに何度も出かけられない人も、注文住宅は難しいといえます。注文住宅は都度打ち合わせや立ち合いが必要になり、時間を割けない場合はあきらめたほうがいいでしょう。

建売住宅の購入で失敗や後悔しないためのチェックポイント

マイホームでここは譲れない!優先順位を決めておくと良い

建売住宅を買う場合に複数の候補があれば、まずそこで生活するという点を考えて、優先順位を決めましょう。

建売住宅購入の優先順位
  • 間取りや広さ
  • 設備が整っているか
  • 収納スペースが充実しているか

MEMO
実際に入居して不満が出るかもしれないポイントを現時点での目線からチェックしておきましょう。

購入前には必ず周りにどんなお店があるのかなどライフラインを確認しておく

家そのものが気に入っても肝心なのはそこで生活をしていくということなので、利用できるお店がゼロでは困ります。

お店や病院、教育機関や金融機関など今まで利用してきた施設がまったく使えない、そもそも周辺に何もないという状況に困惑しないよう購入する前に周辺をしっかり確認しておきましょう。

今後、妊娠や出産、育児の予定があるようならそれに対応できる産科や小児科、幼稚園や保育園、学校が充実しているか気になる点です。 スーパーの特徴や、どんな病院があるかなど必ずチェックしておきましょう。

ローンを組む際は頭金が必要になる

頭金なしでローンを組み住宅購入をすることも可能ですが、頭金をゼロにしてローンを組んだ場合、月々の支払額が大きくなりまた年数も長くなります。 ローンを長期にわたって大きな金額で払い続けるリスクを避けるため、頭金は準備しておきましょう。

何かあっても対応できるよう資金計画を立てといていた方が良い

ローン借り入れ段階で健康状態や経済問題、現在の仕事が順調だとしても何かのトラブルで支払いが難しくなるケースがあります。 無理のない支払い額でローンを設定し、資金計画を立てておきましょう。

値段の安さに惑わされない!値切り交渉は申し込み前にしておく

安い価格で建売住宅を購入できればそれが一番いいのですが、もし近隣に似た条件の住宅があれば比較して極端に安くないか確認したほうがいいでしょう。 あまりに安い場合、何か問題がありそれが隠ぺいされている可能性もあります。

注意
建売住宅は値切り交渉ができますが、契約後に値切ってはいけません。 必ず購入申し込み前に交渉してみましょう。

住宅購入後のアフターサービスもしっかり確認しておこう!

建売住宅を買うとアフターサービスを受けることができますが不動産会社から受ける場合と売主から受ける場合があります。 トラブル回避のためどちらが担当になるか確認しておきましょう。 アフターサービスの内容も、あらかじめ確認が必要です。

建売住宅購入後のアフターサービス内容
  • どれぐらいの頻度で点検を受けるのか
  • 保証期間はどれぐらいか
  • 設備など保証対象はどこまでか

まとめ

建売住宅は比較的安く買える戸建て住宅であり身近な地域で販売されやすいため、若い世代の家族にも人気です。

注文住宅と違い希望が取り入れられず増改築も自由にならないという制約はありますが、最初のマイホームとしてとりあえず戸建て住宅が欲しいという場合には費用や手間が抑えられるため手が届きやすい物件です。

建売住宅にも注文住宅にもメリットとデメリットがあります。 家族構成や年齢の変化に合わせて買い替えることを踏まえた上で、失敗しない住宅購入を検討しましょう。