奨学金返済中でも住宅ローンは借りられる?ポイントや注意点などを徹底解説

この記事のざっくりとしたポイント
  1. 奨学金の返済中でも住宅ローンは借りられる
  2. ただし、遅延履歴があると審査に落ちる可能性が高い
  3. 奨学金の返済額も「返済負担率」に含めて考える

「奨学金の返済が残っていても、住宅ローンは借りられるのか?」そう考えている方は多いと思います。実際私も奨学金を借りて進学をしたので、不安な気持ちがよくわかります。

結論から言えば、奨学金の返済が残っていても住宅ローンの借り入れは可能です。ただし借り入れにはいくつか注意点がありますので、安易な申し込みはトラブルの基となったり、スムーズな借入の妨げとなります。

浜崎編集長

今回は、奨学金の返済中に住宅ローンを借りる際の注意点や、審査に影響が出ない方法を解説していきます。
「奨学金を完済するまで住宅ローンは借りられないの?」と疑問に感じている方は、ぜひ参考にして下さい。

事務員

奨学金がある場合でも住宅ローンを借りられる?

奨学金を返済中だが、住宅ローンを借りたいという方は少なくないと思います。

ここでは、奨学金を借りていても住宅ローンは借りられるのか、その際の注意点などを詳しく解説していきます。

奨学金があっても住宅ローンを借りられる(注意点あり)

住宅ローンの審査において重視されるポイントは「安定して返済ができるか」であり、「奨学金の有無」ではありません。なので奨学金の返済がある方でも、安定した返済ができると金融機関に認められれば、問題なく住宅ローンを借りることができます。

金融機関が安定した返済ができるかどうかの判断には、以下2つのポイントが重要視されます。

判断のポイント
  • 奨学金の延滞履歴がないこと
  • 住宅ローンの返済負担率を奨学金も含む金額で計算すること

これら二つのポイントが問題なければ奨学金を返済中であっても住宅ローンを借りる事ができます。

注意

ただし、奨学金の延滞履歴が過去にある方は注意が必要です。

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奨学金の延滞履歴が過去にある場合

奨学金の延滞を繰り返している方は、住宅ローン審査に落ちる可能性が高くなってしまいます。

多くの方が利用している「貸与型奨学金」は名前こそ奨学金となっていますが返済義務のある立派な「借金」です。そのため、延滞すれば個人信用情報機関に「延滞履歴」が記録されてしまいます。

個人信用情報に延滞履歴があると、安定した返済ができないと判断され、審査で落ちる可能性が非常に高くなります。

また、最も利用者が多い日本学生支援機構の「貸与型奨学金」の場合、延滞3ヶ月以上で個人信用情報機関に「異動情報」として記録されます。この異動情報は俗に言う「ブラックリスト」と呼ばれるもので、異動情報が記載されている間は住宅ローンの審査に通る可能性は低くなります。

異動情報がなくとも、延滞を何度も繰り返していると「安定した返済ができない人」と判断されてしまうことがあります。

異動情報が消えるまでにかかる期間は、最短でも5年。長くて10年が必要です。

事務員

浜崎編集長

そのため、奨学金を返済中に住宅ローンを借りたいなら、延滞しないことをまずは徹底しましょう。

奨学金の返済額は「返済負担率」に含まれる

奨学金の返済額は「返済比率」に含まれるということにも注意が必要です。つまり、住宅ローンの返済額だけでなく奨学金や自動車ローンなどの借り入れがあると、必然的に返済比率も高くなるということです。

返済負担率とは年収に対する年間返済額の割合のことで、一般的には30%〜35%以下が金融機関からの上限融資額になります。

返済比率は以下の計算式によって算出されます。

返済比率(%)の算出方法
返済比率(%)= 年間の返済額の合計 ÷ 額面年収 × 100

たとえば、額面年収800万の人が年間160万円の返済をしている場合の返済比率は、以下の通りです。

年収800万の人が年間160万円を返済する場合
返済比率(%)= 160万円 ÷ 800万円 × 100 = 20.0%

年間返済額には奨学金の返済も含まれるため、住宅ローンだけで返済比率が上限に近い方は特に注意しましょう。

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住宅ローンの返済額を抑える4つのポイント

家を買う上で避けては通れない住宅ローン、できることなら返済額を抑えたいと考える方がほとんどです。実際、住宅ローンの返済額を抑える方法はあるのでしょうか。結論、まったくないわけではありません。

返済額を抑える4つのポイント
  • 金利タイプを選択
  • 住宅ローン控除を利用
  • 返済額軽減型の繰り上げ返済を利用
  • 物件価格と金利はセットで捉える

以下では、返済額を抑えるこれら4つの方法について詳しくご紹介します。

金利タイプを選択

住宅ローンの返済額を抑えるためには、金利のタイプをしっかりと見極め、選択する必要があります。そもそも、住宅ローンの金利にタイプがあること自体を知らないという方も多いでしょう。

住宅ローンの金利タイプは大きく分けて、固定金利タイプ・変動金利タイプがあります。その中でも変動金利タイプは「変動金利型」と「固定金利期間選択型」に分かれています。

浜崎編集長

つまり、住宅ローンの金利タイプは、合計で3種類あることを覚えておきましょう。
住宅ローンの金利タイプについて、それぞれの特徴・メリット・デメリットを以下でまとめています。

事務員

※横にスクロールしてご覧ください

特徴 メリット デメリット
固定金利型 借入期間に応じた金利の変動がないタイプ ・市場金利に左右されない
・将来を通して返済額が一定
・借入段階で返済期間全体の計画が確定できる
市場金利が低下しても、低い金額での支払いに変更できない
変動金利型 金利情勢に応じて定期的に金利が変動するタイプ 市場金利が低下するとそれに応じて返済額が減少する
・市場金利が上昇すると返済額が増加する
・返済計画が立てづらい
・急激な金利上昇があった場合に未払利息が発生する
固定金利期間選択型 所定の金利が固定金利として一定間適用されるタイプ ・固定金利期間中は返済額が一定であるため把握しやすい
・市場金利が低下すると返済額も減少する
・市場金利が上昇すると返済額が増加する
・返済計画が立てづらい


金利タイプによってメリット・デメリットがあるため、ご自身がどの金利に合っているかを考える必要があります。金利タイプの観点で返済額を抑えたいと考えている方は、上記の表をぜひ参考にしてください。

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住宅ローン控除の活用

住宅ローン控除の利用も、返済額を抑えるために有効な手段のひとつです。住宅ローンの控除とは名称の通り、住宅ローンを活用して家を買った場合、所得税や住民税から控除される制度のことです。控除される金額は、年末時点での住宅ローン残高から0.7%の金額です。

控除される期間は、住宅ローンを組んでから10年間でした。しかし、令和元年から消費税額が10%に引き上げられたのをきっかけに、住宅ローン控除の内容も変化しています。

浜崎編集長

令和4年12月31日までに入居した場合であれば、これまで10年間だった控除期間が13年間に延長されます。

気になる住宅ローンの適用条件ですが、いくつかあるため以下に各条件とそれぞれの概要を簡単にまとめていきます。

10年以上の住宅ローン返済期間があること
・金融機関による一般的な住宅ローンやフラット35のみが対象(親ローンなどは対象外)
・勤務先からの借入であれば利率1%以上が必要
物件取得後6ヶ月以内に入居・控除を受ける年の12月31日まで居住し続けていること
・あくまでご自身が住んでいることが条件
・親族や子供が住んでいるだけでは対象にならない
登記上の面積が50㎡以上
・店舗などでの利用であれば、半分以上が居住用であること
年間の合計所得が2000万円以下であること
・年収ではなく所得である
・年収から控除などを引いた額が2000万円以下であれば住宅ローン控除に適用

上記の条件に当てはまっている場合は、ぜひ住宅ローンの控除を受けましょう。控除される金額は大きいため、見逃してしまうと気づかない間に大きく損をしている可能性があります。

返済額軽減型の繰り上げ返済を利用

繰り上げ返済とは、通常の返済とは別に、借入資金の一部または全部を前倒しで返済することです。

繰り上げ返済したお金は、丸々元金の返済へと充てられます。すると元金が減るので、その後に支払う利息が減り、結果として支払う総額が減らせるのです。

借入額の大きい住宅ローンでは、利息の支払いも馬鹿にならないので繰り上げ返済はしたほうがお得だと言えますね

事務員

浜崎編集長

その繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法があります。

「期間短縮型」は残りの返済期間が短くなる返済方法です。毎月の返済額は変わらず返済期間が縮まるために、短縮された期間の利息が軽減されます。同じ金額を返済しても繰り上げ返済の時期が早いほど、また金利が高いものほど、効果が大きくなります。

「返済額軽減型」は今後の毎回の返済額が少なくなる返済方法です。返済期間は変わらない代わりに毎月の出費が直接減らせますので、その分家計にゆとりができます。

MEMO

余裕のある返済のためには「返済額軽減型」をお勧めします。

物件価格と金利はセットで捉える

住宅ローンの返済額を抑えるためには物件価格と金利をセットで考えるようにしましょう。

実は、基本的に金利が上昇すると借入可能額は少なくなってしまうんです。

金利が上昇すると、月々のローン返済額や住宅ローンの総返済額が増える。これは、多くの人が認識していることだと思います。しかし、意外に見落としがちなのが、「借り入れ可能額の減少」。

借り入れ可能額が下がるということは、物件の購入価格の引き下げにもつながってしまいます。

事務員

浜崎編集長

もちろん、返済期間を長くするなどすれば借入可能額を増やすことはできますが、おすすめしません。

やはり安定して返済を行っていくためには期間を延ばしたり、月の支払い額を上げてしまうというのは非常にリスクが高いです。

注意

なのでそれを避けるためにも、購入する物件の価格は金利にも左右されるということを認識し2つをセットで考える必要があるといえます。

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住宅ローンを確実に返済するための重要ポイント5つ

さて、ここまでは住宅ローンを借りるまでの話をしていました。ここからは住宅ローンを借りた後、確実に返済を行うためにはどうすればいいのかということを重点的にお伝えしていきます。

確実に返済するための重要ポイント
  • 今後の人生プランと資金から考える
  • 家賃とローン返済額を比較して、決断しない
  • 返済期間は退職前までに設定する
  • ボーナス返済をあてにした返済計画をしない
  • 繰り上げ返済はキャッシュととのバランスを考える

今後の人生プランと資金から考える

住宅ローンを確実に返済するために、まずは今後の人生プラン資金からローンを考える必要があります。

ここまでで、余裕を持った返済を行うためは手取り年収の20%前後を借入額の目安にしましょうというお話をしてきました。

浜崎編集長

ただし、これはあくまで目安です。実際には手取り年収の20%を借り入れても余裕のある人とそうでない人に分かれます。
またそれぞれの人生プランにおいて必要な支出やそのタイミングも変わってきますよね。貯金や資産なども同様です。

事務員

そのため、今後の人生プランや自分の資産もしっかり考慮した上で、金額や目安などの数字に囚われないようにすることがポイントです。

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家賃とローン返済額を比較して、決断しない

今後今の家賃を払い続けることを考えるとローンを組んで家を建てた方がお得なのでは・・という考え方からローンを借り入れる方がよく見られます。結論から言うとこのような決断は危険なのでお勧めできません。

まず、ローンを組むと言うことは借金をすると言うことなので毎月払っているだけの家賃とは全く異なります。自分が住んだ期間の金額を払えばいいだけの家賃に対し、ローンを組む場合には利子の返済義務も発生します。

また、仮に災害などで物件が大きな被害を負ってしまったとしても関係なく返済が生じるのでその点でもリスクがあります。

注意

安易にローンを組んで後悔をしないためにもこういったリスクを考慮した上で借り入れを検討するのが大事です。

返済期間は退職前までに設定する

借入計画を立てる際に、返済期間を退職期間よりも長く設定してしまう方がいます。

退職後の収入や資産は予測がしづらく、不明瞭なため退職期間までに返済が終わるように計画を立てることをお勧めします。

ボーナス返済をあてにした返済計画をしない

借り入れの際にボーナスをあてにした返済計画を立てる方がいますが、これはやめておいた方がいいでしょう。

ボーナスは会社や個人の業績によって金額が大きく左右されます。なのでボーナスを返済計画に組み込んでしまうと計画を大きく変更せざるを得ません。

MEMO

計画を何度も変更するような不安定な返済ではなく、確実に返済を行なっていくためにもボーナス返済をあてにした返済計画はやめていた方がいいでしょう。

繰り上げ返済はキャッシュととのバランスを考える

住宅ローンを確実に返済するための方法として「繰り上げ返済」があります。繰り上げ返済とは毎月の返済額とは別に、まとまった額を返済する方法です。

返済はすべて元本のみに充てることができるので、その分の支払い利息が消え、総支払額を効率的に減らすことができます。基本的にはいつでも行えますが、金融機関、ローンの種類によって1回の最低返済額(1円〜100万円)や手数料(無料〜数万円)は異なるので注意が必要です。

浜崎編集長

最近ではインターネットからの繰り上げ返済なら手数料が無料になる金融機関がほとんどです。
こうした繰り上げ返済の手数料体系も確認して住宅ローンを決めると、繰り上げ返済をより活用しやすくなりますよ。

事務員

注意

ただし、繰上げ返済を意識するあまり手元にお金がほとんど残っていないというような状況だと急にお金が必要になってしまった時に対応ができないのでキャッシュとのバランスを考えて繰上げ返済は行うようにしましょう。

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まとめ

今回は、奨学金を返済中の方に向けて住宅ローンについて解説しました。

また、住宅ローン返済比率の適正な割合や算出方法といった、住宅ローン返済比率についての基本に触れながら、返済が滞った際の対策や返済額を抑えるポイントなど住宅ローンを組むうえで気になるポイントを多数紹介しました。

賃貸と持ち家それぞれのシミュレーションなども紹介していますので是非参考にしてみて下さい。