- 賃貸と比較して金銭的メリットが大きい
- 返済計画が立てやすい
- 購入しても住い続ける必要はない
30代に差し掛かると周りの友人や同僚でマイホームを持ち始める人が増えてきます。それを見て将来のマイホームに思いを馳せつつも、「自分にはまだ早い」と思っている方はたくさんいらっしゃると思います。では一体いつが購入適齢期なのでしょうか。結論から申し上げると35歳までをお勧めします。
今回の記事は「結婚してから買おう」「もう一人子供が生まれてから買おう」というご自身のプランを持っている方にこそ読んでいただきたい内容です。
理由その1:長期間賃貸物件に住み続けるのは損
独り立ちや結婚生活のスタートとして最も一般的な手段は、賃貸物件を借りることです。賃貸は購入と比較すると手続きの時間やコストがかかりません。また勤務地の移動、家族構成の変化、あるいは単に手狭になったときなどにも気軽に転居をすることが可能です。
しかし数年間同じ家を借り続けると購入の方が金銭的メリットが大きいこともあります。特に都市部において多くの場合は35年ローンを組んだ時の支払い総額(返済額+管理費や固定資産税などの固定費)は、同時期に同じ場所で同等のランクの賃貸物件を借りたときの賃料よりも安価になることも多いのです。
仮に現在借りている賃貸物件の賃料が月額85,000円とすると1年で約100万円を支払っていることになります。一方で3,000万円の住宅を金利0.99%の35年ローンで購入したときの月額返済額は84,546円、そのうち金利相当分は1年で13万円程度となります(※)。
賃貸で支払った家賃は戻ってこないのに対し、ローンの返済額は利息を除いたほとんどの金額が自分の得た資産に対し分割払いをしているのと変わりありません。
※借入金額3,000万円、金利:固定20年(年利0.99%)、借入期間:35年で計算
最初から賃貸に住まずマンションを買ってしまうのも有りですか?
中にはそういう方もいらっしゃいますね。
理由その2:返済計画が立てやすい
多くの金融機関においてローンの借り入れ期間は10年~35年となっています。試しに2,500万円の物件を「フラット35」で借り入れた場合の、返済期間別月額支払額を見てみましょう。
返済期間 | 15年 | 25年 | 35年 |
金利 | 年1.120% | 年1.170% | 年1.170% |
支払額 | 月150,947円 | 月96,154円 | 月72,569円 |
※上記は住宅取得支援機構の2019年11月現在の金利を参考に試算しました。
上の図から長期間で借り入れると毎月の支払額が少なく済むことが分かります。できるだけ負担を減らし、ゆとりを持った返済計画をたてるのが望ましいですね。
ただ仮に50歳の方が35年ローンを組んでしまうと、85歳で完済という計算になってしまいます。借入時の年齢が上がれば上がるほど短期での返済計画を立てざるを得なくなってしまいますので、その点でも30代のうちが適齢期であると言えるでしょう。
定年後も同じ金額を払い続けるのは負担が大きすぎます…。
そもそも返済計画に難があると、銀行も借入を承認してくれないことも多いです。
理由その3:資金にゆとりができる
では若ければ若いほど良いのかというと、そうとも限りません。銀行がローンを承認するときは申込人に対し期間中、継続的に返済が可能であると判断したときです。したがって十分な就業実績や収入がないと審査否決となってしまうことがあります。
また住宅を購入する際には不動産本体の価格ばかりに目が行きがちですが、各種費用も忘れてはいけません。一般的に頭金と呼ばれている各種税金や手数料、保証・保険料などのことです。新築物件であれば購入価格の3%~5%、中古物件であれば5%~8%が目安とされています。
一部金融機関ではこのような諸費用についてもローンを組むことが可能です。これにより手持ちの現金が少ない場合においても無理のない返済計画が立てやすく、購入のハードルが低くなりました。
当然ながらローンを組んだ分には利息がかかりますので、長期的に見ればトータルコストは高くなります。故に資金にある程度の余裕がある場合には、頭金+物件価格の一部を最初に支払うのもひとつの手段です。30代になり仕事が安定し、ある程度資金に余裕が出てきてから購入を検討した方が良いでしょう。
理由その4:ずっと住み続ける必要はない
住宅は「人生で一番大きな買い物」と謳われていることもあり、マイホームを購入する時は誰でも慎重になるものです。仕事の都合や子供が増えたり両親と同居するなどの家庭の事情で転居をする可能性があるかもしれません。しかしマイホームを購入するからといって、一生をそこで暮らす覚悟は必要ありません。
忘れてはならないのが購入した家は住む場所でありながらも自分の資産であるということです。もし自分がそこに住む必要がなくなったのであれば、資産として処理をしましょう。具体的には、売却するか賃貸で運用すれば良いのです。
賃貸は資産を手元に残しておけるという点でお勧めです。また、ほとんどの分譲住宅は一般の賃貸専用アパートよりも構造や設備が優れており、地域相場よりも高い賃料で貸し出すことが可能です。ファミリー向けの間取りであれば、転勤族への需要も見込めるでしょう。
また住宅ローンには団体信用生命保険が付与されています。これは返済期間中に契約者が死亡してしまった場合、残債が0円になるというものです。つまり残債の分だけ生命保険に加入しているのと同じですので、保険を見直すことにより保険料の削減にもつながります。
なるほど。でもまだ独身なので…。
単身世帯でもマンション購入する方は多いですよ。
おまけ:意外に多い、単身用マンションの購入
先述のとおり「賃貸だともったいない」「資産を保有したい」という理由のほか、昨今の金利の低さや自身の老後のことを考えて単身用マンションを購入する方もいます。実はこの考えは非常に大切です。住宅ローン審査同様、賃貸の入居審査も高齢になるにつれて承認を得るのが難しくなります。資金力としての問題と、自分の物件の孤独死を懸念する大家さんが多いためです。
実際に私は27歳の時に40平米ほどの部屋を購入しています。当時は7~8年住んでから売ろうという考えだったのですが、その2年後に結婚し転居しました。現在は賃貸で運用をしています。賃料収入から返済額・管理費・税を差し引いても月に数万円の収入になっており、取得価格から値下がりもしていません。
マイホームとしての役割は短い期間だったものの、良い買い物をしたという実感があります。床面積が50平米以上でないと住宅ローン控除は適用できないというマイナス面もありますが、流動性の高い単身向けマンションは資産として非常に有用です。
以上、35歳までにマンション購入をしたほうが良い理由についてお話ししてきました。ご自身の将来設計の一環として是非参考にしてください。
ただし年齢はひとつの基準であり、実際の購入にあたってはご自身を取り巻く環境や金利などの経済事情によるところもあります。大きな買い物であることには変わりありませんので、慎重に選びましょう。自分の求める物件に出会えた時が一番の買い時かもしれません。