- 自然災害の多い日本では、デザイン性よりも耐久性に優れる形状が人気
- 個性的な形の屋根を選ぶ場合は、修理やメンテナンスが難しくなる場合がある
- 予算を決めるときは長期的なランニングコストも考慮する
戸建て住宅のイメージを大きく左右する外観。特に、屋根の形はデザイン面だけでなく機能面においても、かなり重要なポイントです。
「どんな屋根を選べばいいか分からない」とお悩みの方も多いですが、マイホームに対する希望によっておすすめの屋根は異なります。
そこでこの記事では、日本の戸建て住宅で使われているおすすめの屋根10種類の特徴をご紹介!
浜崎編集長
そもそも屋根の形はどのくらいの種類があるの?
そもそも「屋根の形状にどれくらいの種類があるのか分からない」という方も多いはず。
まずは、代表的な屋根の形はどのようなものかを覚えておくことをおすすめします。
- 切妻(きりつま)
- 片流れ(かたながれ)
- 寄棟(よせむね)
- 方形(ほうぎょう)
- 陸屋根(りくやね)
上記の5種類が、日本の戸建て住宅で使用されることが多い屋根の形状。
台風や地震などの自然災害が多い日本では、デザイン性よりも耐久性に優れる形状が人気です。
「何から探せばいいか分からない」という方は、まず定番の屋根を検討するのがおすすめ。ここからは、上記の代表的な屋根5種類の特徴を詳しく解説します。
浜崎編集長
戸建て住宅で多く見かける「切妻」
日本の戸建て住宅で最も多い屋根が、「切妻(きりつま)」と呼ばれる形。一般的な三角屋根のことで、住宅メーカーはこの切妻の形をベースにして設計を考えているケースが多いです。
そのため、ほぼ全ての屋根材を選べる可能性が高く、修理の際もスピーディーに対応してくれます。
メリット:経済的でオーソドックスな形なので安心
デメリット:オリジナリティに欠ける
シンプルかつ丈夫な構造なので、無駄なコストがかかったり工事に手間取ったりする心配がありません。
また、接合部分が少ないので雨漏りしにくいというメリットも。
仮にトラブルがあったとしても、切妻屋根ならメンテナンスにも対応しやすいです。
浜崎編集長
スタイリッシュさとコスト面で人気の「片流れ」
一面だけが流れるような形をしている屋根が、「片流れ(かたながれ)」です。
屋根が一面だけ斜めになっている形なので、屋根部材の使用料が抑えられコストパフォーマンスが高め。
一般的な屋根よりもスタイリッシュな見た目になるので、低価格で一目置かれるデザインを実現したい方におすすめです。
メリット:コストパフォーマンス・デザイン性が高い
デメリット:比較的劣化しやすい
一面のみしかないので、ソーラーパネルの設置面が多く便利です。
また、屋根の頂点部分まで部屋にできることから、ゆとりをもった屋根裏空間や高い位置に窓を設置することもできます。
浜崎編集長
また、片方にのみ傾斜していることから雨水が一か所にたまりやすく、雨や風に弱いため台風の多い地域は要注意です。
雪や雨に強い「寄棟」
切妻と同様に、戸建て住宅でよく使用されている屋根が「寄棟(よせむね)」です。日本の住宅地ではよく見かける形状で、三角屋根(切妻)と似ています。
切妻との違いは、切妻は屋根が2面であるのに対して、寄棟は屋根が4面になっている点です。
メリット:耐久性が高い
デメリット:コストがかかる
4方向に屋根があるため、刺激が分散されやすい寄棟。雨・雪・風による被害も分散できるため、耐久性が非常に優れています。
ソーラーパネルの設置面は少なくなってしまいますが、「自然災害が多い地域でも安心できる丈夫な家にしたい」という方にはおすすめです。
浜崎編集長
デメリットは、繋ぎ目が多く少し複雑な構造をしているため建築費が高い点。メンテナンスによるランニングコストも高くなりがちなので、導入する際は長期的な予算を検討してくださいね!
正方形の家なら「方形」もおすすめ
頂点を基準にして4方向に傾斜がある屋根の形が「方形(ほうぎょう)」です。
先ほどご紹介した寄棟と似ていますが、頂点があるピラミッド型で真上から見ると正方形になっているのが特徴となっています。
寄棟は、四角い屋根×2個・三角の屋根×2個であるのに対し、方形なら頂点から繋がる4面全て三角形の屋根なので、より均等に雪や雨の被害を分散できます。
メリット:雪や地震に強い
デメリット:家の形が正方形でないと成立しない
正方形の家にしか対応できませんが、正方形は均等でバランスの良い形なので、屋根の補強がしやすく地震にも強いです。
浜崎編集長
なお、4方向の屋根をつなぐ頂点がある構造なので、屋根のつなぎ目を塞いでいる材料が劣化してくると雨漏りする恐れも。新築建設の際に、あらかじめ屋根を補強しておくことをおすすめします!
最近人気上昇中の「陸屋根」
勾配をつけずにフラットな状態にする屋根が「陸屋根(ろくやね)」です。
屋上が作りやすく住宅の上のスペースを有効活用できる上に、フラットで近代的なカッコイイ見た目の家になるためデザイン面でも人気です。
メリット:屋上が作れる
デメリット:こまめなメンテナンスが必要
戸建て住宅に屋上を作りたい方は、この陸屋根の形を取り入れることになりますが、こまめなメンテナンスが必要となるので要注意です。
事務員
浜崎編集長
また、傾斜がないことから、太陽光パネルの設置は追加費用がかかるのでご注意ください!
他にはどんな屋根があるの?
ここまでは、一般的な戸建て住宅で使用されている屋根の形状をご紹介してきたので、どの種類も一度は見かけたことがあるのではないでしょうか?
しかし、せっかくのマイホームなら「他の戸建て住宅とは違う屋根の形にして個性を出したい」という方もいるはず。
ここからは、日本の戸建て住宅では中々見かけることがないような様々な形状の屋根をご紹介していくので、変わった屋根の形を探している方はぜひチェックしてみてください。
一般的に使用されている形状以外の屋根を取り入れると、修理やメンテナンス、補強が難しくなる傾向にあります。
戸建て住宅を建設するときだけではなく、長期的な予算や計画を考慮しながら、マイホームに最適な屋根の形状を選ぶことが大切です。
和風の家におすすめな「入母屋屋根」
屋根が4面ある寄棟の形状をベースにして、その上に小さな2面の切妻屋根をのせたような形状が「入母屋屋根(いりもややね)」です。
伝統的な日本家屋や古く歴史のある家で見かける屋根で、昔から格式が高い建物に使用されていた構造なので、重厚感がある造りの家におすすめです。
メリット:断熱性に優れていて、伝統的な見た目
デメリット:コストが高い
和の雰囲気にピッタリな入母屋屋根は日本瓦が使用されるケースが多く、通気性が高いため断熱性にも優れています。
浜崎編集長
ドイツ風の外観にぴったりな「半切妻屋根」
一般的な三角屋根である切妻の棟の部分をへこませたような形が「半切妻屋根(はんきりつまやね)」です。
別名「ドイツ屋根」「はかま腰屋根」とも呼ばれている形状で、ドイツの景観のような洋風のデザインが人気になっています。
メリット:建築基準法に対応できる
デメリット:雨漏りしやすい
デザイン性が注目されがちな半切妻屋根。実は、建築基準法に対応するために利用されることが多いという特徴があります。
なお、接地面が多くなる分メンテナンスを怠ると雨漏りしやすいので、雨が多い地域ではご注意ください。
浜崎編集長
明るさや解放感を演出する「差しかけ(招き)屋根」
オーソドックスな三角屋根(切妻)の片側をずらす形の屋根が「差しかけ屋根」です。屋根の斜面と斜面の間に壁を作れる構造となっています。
また、切妻屋根の接合部分を少しずらして、片面の勾配の面積を広く、反対の面積を狭くした形状の「招き屋根」も差しかけ屋根に含まれます。
メリット:コスパが高く採光窓を設置可能
デメリット:屋根と外壁の間から雨漏りするリスクがある
屋根と屋根の間に壁があるため、採光窓を設置すると日当たりは抜群。
屋根裏の面積が広い上に、通気性も良いのでコスパ良く屋根裏を有効活用したい方におすすめです。
浜崎編集長
段差のある個性的な「越屋根」
屋根の上にさらに小さな屋根をのせる形状が「越屋根(こしやね)」です。
越屋根のメリットはデザイン性と通気性。
小さな小屋のような屋根がポツンと乗る構造なので、とにかくおしゃれで通気性の良い家にできます。
メリット:個性的で風通しが良い
デメリット:コストが高い
屋根の上に窓を設置することによって夏は風通しが良く、冬は光を取り入れやすい家を実現できるので快適性が高いです。
しかし、かなりコストが高くなってしまうので、「とにかくデザイン性にこだわりたい」という方におすすめします。
浜崎編集長
デザイナーズ物件などで見かける「バタフライ屋根」
中央がへこんだV字型になっている屋根が「バタフライ屋根」です。その名の通り、羽を広げたような個性的な形になっています。
別名、「無落雪屋根(むらくせきやね)」とも呼ばれ、落雪を防ぐことができ積雪地域でよく使用されているのが特徴です。
メリット:個性的で落雪の心配がない
デメリット:雪や雨に耐えられる強度が必要
V字型の谷の部分に、排水設備やスノーダクトを設置することによって、雪を溶かしたり雨水を排水したりできる構造。
雪や雨を効率よく処理できるので、雪下ろしによるストレスを軽減させることが可能です。
浜崎編集長
まとめ
戸建て住宅で使われる屋根の形状10種類を解説しましたが、マイホームにピッタリの屋根は見つけられましたでしょうか?
個性的でデザイン重視の形状になるほど繋ぎ目が増えるので、雨漏りのリスクが高まる傾向がありましたね。
住宅を守る部分と言っても過言ではない屋根は、最低条件として「自然災害から守れる形状」にすることが大切です。
まずは、マイホームを建てる地域の環境を調べて、最適な形を見つけてください。
- 地域の特徴を考慮(雪・台風・日差しが多いなど)
- 予算やランニングコストを出す
- 外壁に合うデザインを選ぶ
新築で戸建て住宅を建てるときだけでなく、長期的なランニングコストも考慮したうえで予算を決めることをおすすめします。
予算まで決めた後にマイホームの外壁に合う屋根材や形状を選ぶと、スムーズにおすすめの屋根を探せます。
浜崎編集長