オール電化とは?メリット・デメリット、月々にかかる料金や安い・高い時間帯について

この記事のざっくりしたポイント
  1. オール電化は家庭における給湯・暖房・調理などのすべての熱源を電気に頼る住宅設備システム
  2. 節約、環境配慮、安全性、災害への備えなどがメリット
  3. オール電化は時間帯によって大きく電気料金が異なるため、ガス併用に比べて使い方に工夫が必要

ガスを使わずに調理や給湯ができるオール電化は今や広く普及する住宅設備です。住宅購入やリフォームを考えている人の中にはオール電化を導入しようかどうか迷っている人も多いのではないでしょうか。しかし「オール電化は本当に節約できるの?」「設置費用は?」など疑問も尽きないことでしょう。そこでこの記事ではオール電化に関するあらゆる疑問に答えます。初期費用やデメリットもしっかりチェックし後悔しないオール電化の導入を目指しましょう。

オール電化とは

オール電化は家庭における給湯・暖房・調理などのすべての熱源を電気に頼る住宅設備システムです。具体的には、IHクッキングヒーター、エコキュートなどの温水器、床暖房・蓄熱式電気暖房機などを利用することです。CO2を排出するガスに比べて環境に優しい電気エネルギーを使うことから少しずつ普及が広がってきました。オール電化の特徴に夜間料金が安く設定されている点が挙げられます。エコキュートの湯沸かしや暖房の蓄熱などは夜間に行い、効率良く電力を使う仕組みになっています。

オール電化住宅の一般的な料金

各電力会社が公表するオール電化住宅の平均的な料金を以下にまとめました。

電力会社 年間平均電気代 月間平均電気代
北海道電力 281,577円 23,465円
東北電力 183,252円 15,271円
東京電力 160,236円 13,353円
中部電力 210,576円 17,548円
北陸電力 183,804円 15,317円
関西電力 201,264円 16,772円
四国電力 156,144円 13,012円
九州電力 167,760円 13,980円

参照:オール電化住宅の電気代は?メリット・デメリット、節約方法を解説|でんきナビ|Looopでんき公式サイト

このように地域によって大きな差があります。また世帯人数によっても違いがあります。以下は関西電力が発表している世帯人数別の⽉間平均電気代です。

世帯人数 ⽉間平均電気代
1人 10,751円
2人 12,904円
3人 14,454円
4人 14,914円

参照:オール電化世帯人数別の電気代平均額|オール電化|関西電力 個人のお客さま

他にも集合住宅よりも一戸建ての方が、夏季よりも冬季の方が電気代は高くなる傾向にあります。

 

オール電化の電気代は高いですね。

 
 

その分ガス代がかからないので、家庭によっては節約できる可能性が高いでしょう。

 

オール電化のメリット

環境に優しいことのほかにもオール電化は使用者にとってたくさんのメリットがあります。

「お湯」「暖房」にかかるコストを大幅に抑えることができる

オール電化はコスト面でのメリットが大きいです。オール電化向けの料金プランは夜間の電気単価が安く設定されています。その夜間のうちに日中使用するお湯の沸き増しをしたり、暖房の蓄熱をしたりします。そのためガスを使用する場合に比べてエネルギー効率がよく、コストをできる限り抑えることができます。

ガス代がかからないので基本使用料が一本化できる

オール電化住宅ではガス代が一切かかりません。その分電気代はガス併用よりも高額になりますが、とは言ってもオール電化の方が固定費を安く抑えられる可能性が高いです。なぜならガスも電気も基本料金+従量単価の合計額を請求されるのが一般的です。つまり、ガス代の請求がないということはガスの基本料金を支払う必要がありません。支払いが一本化されるので固定費がわかりやすくなるのもメリットと言えます。

ガス漏れや不完全燃焼による一酸化炭素中毒の心配がない

ガスを使用する際には適切な換気を行い不完全燃焼に気をつけなければなりません。一酸化炭素中毒を引き起こすと命を脅かすおそれもあります。またオール電化なら火を使わないため火災のリスクもありません。こうした安全面のメリットもオール電化ならではです。

震災時には一時的にタンク内の水を生活用水として利用できる

大きな地震の際は断水のおそれがあります。水道施設や水道管の損傷が主な原因なので復旧までは数日程度要することも。そんなときオール電化住宅ならエコキュートなどの温水器のタンク内にお湯が貯まっている状態なので一時的に生活用水を確保できます。

また、電気・ガス・水道といったライフラインのうち、電気の復旧が最も早いと言われています。事実、東日本大震災の際はガスの完全復旧まで約2ヶ月要したのに対し、電気は3日後に80%の世帯を復旧できたそうです(参考:水道の停止に備える – 防災手帳 | Yahoo!天気・災害)。

自家発電した電気も使うことができる

電気は電力会社が供給する以外に自家発電する手段もあります。例えば太陽光発電システムを住宅に搭載すれば日照エネルギーを電気に変えることができ、電気代をさらに抑えることができます。その上売電収入も見込めます。再生可能エネルギーなら環境に優しい点も大きなメリットでしょう。また災害時に停電しても太陽光発電があれば電気を利用できるので、日常生活への影響をできる限り抑えられます。

 

節約、環境配慮、安全性、災害への備え。あらゆる面でオール電化は優れていますね!

 
 

メリットはたくさんあるけれど、注意点もあるよ。しっかり確認しよう。

 

オール電化のデメリット

メリットも多数ある反面、デメリットもあります。もしオール電化にしようか迷っているなら、デメリットにもしっかり目を向けた上で検討しましょう。

オール電化は昼間の電気料金が高い

オール電化は夜間の電気料金が安く設定されていると述べましたが裏を返せば昼間の電気料金は割高です。昼間に料理(IHクッキングヒーターの利用)やエコキュートの湯沸かし、浴室乾燥などを行うと、かえって電気代が高くつくおそれもあります。しかし前述した太陽光発電システムを併用すればこのデメリットを解消できます。電気料金が高い昼間は太陽光に頼れば、電気代を抑えることができるでしょう。

設備設置(IHやエコキュート等)コストがかかる

オール電化の導入に二の足を踏む最も大きな理由は導入コストかもしれません。それぞれの設備の価格と工事費用を合わせた相場は以下のとおりです。

それぞれの設備の価格と工事費用
  • IHクッキングヒーター:約10~25万円
  • エコキュート:約40~80万円
  • 電気床暖房:約30~40万円

総額100万円以上かかることも珍しくありません。新築時に導入する場合もガス併用より初期費用がかかります。

貯水タンクは飲み水として使えない

先ほどエコキュートに貯まったお湯は生活用水に使えると解説しましたが飲み水として使うことはできません。多くのメーカーは「タンク内のお湯をそのまま飲用しないこと」を取扱説明書に明記しています。エコキュートの貯水タンクのお湯は、一度煮沸しているため消毒成分が抜けてしまっています。そのため、一般的な飲用水の水質基準に適合しないことがその理由です。エコキュートがあるから災害時も安心と油断せず、飲用水だけは必ず蓄えておくのがおすすめです。

オール電化は停電に弱い

オール電化の弱点は停電などの非常事態でしょう。すべての設備を電気でまかなっているため、停電してしまうと生活が立ち行かなくなる可能性があります。発電機や蓄電システムがあれば災害時にも安心でしょう。

 

災害時のことは特にしっかり考えておかなければなりませんね。

 
 

オール電化住宅に限らず、緊急事態を想定してあらゆるものを備えておきましょう。

 

オール電化で後悔しないためには?

オール電化を導入して「こんなはずじゃなかった!」といった事態にならないよう、その仕組みをしっかり理解して利用することが大切です。重要なポイント4つをまとめました。

必ず料金シミュレーションをする

オール電化にした場合の料金をしっかり検証しておきましょう。各電力会社のWEBサイトで簡単な料金シミュレーションが可能です。現在利用中の熱源やガス料金・電気料金を入力すると、オール電化を導入した場合の電気代がわかります。あくまでシミュレーションなので正確な料金がわかるわけではありませんが、ある程度知っておくと「思っていたより高かった」といった事態を防げます。

居住人数やライフスタイルに適したプランに加入する

電力会社は、複数の料金プランを用意しています。例えば東京電力が提供する主なプランは以下のとおりです。

プラン名 特徴 家族の人数
プレミアム 一定の使用量までは定額 5人以上
スタンダード さまざまなライフスタイルに合った標準的なプラン 1〜4人
夜トク 夜間の電気使用量の割合が高くなるほどおトク
スマートライフ オール電化住宅向け

参照:料金プラン|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社

このように世帯人数や電気を多く使う時間帯に合ったプランを選べます。オール電化住宅用のプランを選ばなければ、かえって電気代が高くつくおそれがあるので要注意です。

安い・高い時間帯を把握しておく

適切なプランを選んだ上で電気代が安い時間帯・高い時間帯を必ず把握しましょう。それぞれの時間帯に合った電気の使い方をすることが節約の肝です。

消費電力が大きい家電製品を把握する

電気代が割高になる時間帯だけでなく各電化製品の消費電力の大きさにも注目しましょう。一般的に以下の電化製品は消費電力が大きいです。

消費電力が大きい家電製品
  • IHクッキングヒーター(3口):5,800W
  • 電子レンジ:1,400W
  • アイロン:1,400W
  • ジャー炊飯器:1,300W
  • 浴室乾燥機:1,290W
  • 温水洗浄便座:1,200W
  • ハロゲンヒーター:1,200W
  • 洗濯乾燥機:1,100W
  • ドライヤー:1,000W

参考:ピークに賢くみんなで節電

上記のような電化製品はできる限り夜間に利用するのがおすすめです。タイマー機能などをうまく活用し、賢く節約しましょう。

 

適切な料金プランを設定した上で、電気料金が高い・安い時間帯を把握、そして消費電力の大きい家電は夜間に利用する。たったこれだけで電気代が大きく変わりますよ!

 

まとめ

オール電化の電気料金や導入するメリット・デメリット、利用時の注意点を解説しました。オール電化は初期費用や停電時の脆弱さなどのデメリットもありますが、一方で節約、環境配慮、安全性、災害への備えなど、デメリットを補って余りあるあらゆるメリットがあります。もしオール電化の導入を迷っているなら、一度初期費用の見積もりと電気料金のシミュレーションを行ってみてください。

なおオール電化は時間帯によって大きく電気料金が異なるため、ガス併用に比べて使い方に工夫が必要です。面倒に感じるかもしれませんが、ちょっとした工夫で電気代が大幅に節約できることをすぐに実感できるでしょう。家計と環境に優しいオール電化で、快適な暮らしを目指してみてはいかがでしょうか。