- 免許番号からわかること
- 免許番号(1)=信用できない?
- 免許番号の数字が大きいほど注意した方がいいケース
- 信頼度を計るためにチェックしておきたいこと
皆さんは不動産会社を選ぶときに、どのような基準で選んでいますか。
「有名企業なら安心して任せられる」、「地域密着型で熱心な会社のほうが期待できる」など。購入・売却・賃貸などの取引態様や、地域によっても重要視するポイントは異なるかもしれません。
しかし、どんな場合でも共通して最も大切な要件のひとつは、信頼できる会社であることではないでしょうか。
では、信頼できる会社を見分けるにはどうすれば良いでしょうか。
やっぱり歴史のある会社は信頼できそうな気がしますけど…。
それでは「免許番号」も一応の基準にはなるので、実際のところを解説してゆきます。
免許番号からわかること
免許番号とは
私たちが自動車を運転するために運転免許が必要で、医者になるためには医師免許が必要なように、不動産業者が宅地建物取引業を行うためには特定の認可が必要です。
免許番号は不動産業者がその認可を得たときに割り振られる番号のことです。
免許番号は「国土交通大臣(1)第××××号」「○○県知事(3)第××××号」という様式になっています。
( )内の数字の意味
この数字は「回次」と言い、免許を受けた回数(1+更新回数)を表しています。設立以降一度も更新していない業者は免許番号が(1)、その後更新回数に応じて(2)、(3)と増えていきます。
免許の更新は5年毎に行われます(平成8年3月迄は3年毎)。つまり免許番号が(1)なら営業開始より5年以内であり、(2)なら6年目以降10年未満、(3)なら10年以上事業が続いていることがわかります。
下表のとおり、全国に12万社以上ある不動産業者のうち約20%の免許番号が(1)であり、約半数の業者が(1)~(3)に属します。(平成31年3月31日付の情報です)
回次 | (1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
業者数 | 26,221 | 18,258 | 12,573 | 6,818 | 6,244 |
割合 | 21.1% | 14.7% | 13.7% | 5.5% | 5.0% |
免許の種類
免許には「都道府県知事免許」と「国土交通大臣免許」の2種類があります。
まず、1つの都道府県のみで宅建業を行う場合は通常は知事免許を取得します。そして大手不動産会社のように全国に支店を持つ場合は大臣免許を取得します。
2つ以上の都道府県において事業所を展開する場合は各都道府県知事の認可ではなく、国土交通大臣の認可が必要になるのです。
不動産業界に新規参入する場合には、本店となる事業所がある都道府県の知事免許を取得する場合が多いです。大臣免許の登録の際は知事免許を取得するより手続きにかかる期間がやや長く、また登録にかかる費用も少し高額になります。
カッコの前の文字にもこんな秘密があったなんて!
大臣免許の会社の方が規模は大きい傾向にあります。
免許番号の調べ方
ウェブサイトを持つ不動産会社であれば、大抵は会社概要ページなどに掲載されているでしょう。また店舗に訪問する機会があるようならどこかに「宅地建物取引業者票」が掲示されているはずなので、そちらでも確認が可能です。
最も確実な手段として、国土交通省のウェブサイトで確認することも可能です。
免許番号(1)=信用できない?
中には歴史があるにも関わらず、免許番号(1)の会社も存在するのです。以下でその具体的なケースを紹介します。
免許を書き換えたとき
知事免許を取得して事業を開始した業者も、事業拡大に伴い他都道府県への店舗を増設する場合には大臣免許への書き換えを行うことが可能です。
その際は認可者が異なるため、当然免許番号にも変更が生じます。
つまり知事免許(5)を保有していたとしても、大臣免許への書き換えを行えば免許番号は(1)に戻ってしまうということです。
もちろん大臣免許から知事免許への変更、知事免許から他都道府県の知事免許への変更についても変更が生じますし、免許を取得していた個人業者が法人化する場合なども同様です。
免許が取り消しになったとき
とある不動産会社が「業務停止命令を受けた」というニュースをご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。これは行政処分といい、宅建業者が法律に違反したときなどに課せられる処分のことです。
行政処分には業務停止命令以外にもいくつか種類がありますが、そのうち免許取消処分にあたったときには、文字通り免許が取り消されてしまいます。
- 免許換えの手続きを怠った
- 業務停止処分対象行為で情状が特に重い
- 業務停止処分に違反した
- 一年以上事業を休止した
行政処分情報を調べるには
こちらでは国土交通省管轄の業者が過去に行政処分情報を受けているか検索することが可能です。ただし直近5年以内のものに限られます。また都道府県知事が行った監督処分情報も一覧でまとめられています。
ただし行政処分には至ってはいないものの顧客とのトラブルの絶えない会社も多く存在しますので、ここに載っていないからと言って安心とは限りません。
免許番号が大きいほど注意した方が良いケース
これまで長年の営業実績は信頼の証という話をしてきました。しかし一方で、その実績が裏目に出てかえって信頼がおけない不動産会社というのも存在します。
地主との癒着が激しい会社
経営が特定の顧客によって成り立っているような会社も多数あります。明確な力関係により、不動産会社は地主のマリオネット状態に…ということも。特に先代から子孫が経営を引き継いだパターンなど、地域密着型の小規模かつ歴史が深い会社に多い傾向です。
自分が不動産を買う(借りる)側であったときに、売主(貸主)との間で何かしらのトラブルが生じてしまったとき、こういった会社は99%味方になってくれません。
法律を無視している会社
そう一言で言ってしまうとインパクトがありますが、厳密にいえば「法律で定められていることを徹底せず自分たちのルールで取引を行う会社」です。 例えば書類への記載が定められている事項が抜けていたり、法律に反して契約当事者の一方が極端に有利になる契約内容になっていることも。
先日120年ぶりに大改正された民法は2020年より施行予定となっています。基本的に中古物件の売買では買主に、賃貸では借主に有利な条件に変更されています。契約締結前に、書類には改正点が明記されているか、しっかり確認をしておきましょう。
確かにこういった会社は、歴史が長い方が厄介かもですね…。
信頼度を計るためにチェックしておきたいこと
評判・体験談をチェック
その会社の口コミを調べてみるのも参考になります。特にGoogle Mapsの店舗情報に寄せられたスター付きのコメントなど、個人アカウントで書き込む形式のものは信憑性が高いでしょう。
反対に自社ウェブサイトに掲載されている情報は都合の良いものだけを選んで書き込んでいる可能性があるのであまり参考になりません。
事務所をチェック
飲食店ではよく「トイレがきれいな店は繁盛する」などと言われていますが、不動産会社にも似たようなことが言えます。
特に不動産取引では資金や資産を預けたり、個人情報のやりとりをする場所になりますので、事務所の環境というのは非常に重要です。
備品が埃まみれだったり、書類が散らかっていたりするのは危険信号です。まさか来訪者から見えるような位置に重要書類が無造作に置かれていませんよね?
営業マンをチェック
会社と同じくらい重要なのが営業マンです。自分の取引担当はもちろんのこと、他の社員も見ておきましょう。清潔感がない、時間や書類管理にルーズ、電話の取次ぎの態度が悪すぎる等、社員の教育が行き届いていない会社はいつか必ずトラブルを起こします。
反対に会社としての実績がまだなかったとしても、営業マンたちが経験と責任感、プロ意識のある人間であれば、安心して任せられることもあるでしょう。
まとめ
不動産会社の信頼度をはかる上で、免許番号は一つの指標になります。ただしそれは過信しすぎるのも危険です。後半でご紹介した気を付けるべきポイントについても留意し、安心できる不動産会社に任せたいですね。
不動産取引は金額的にも時間的にも大きな取引ですから、会社選びも慎重に行いましょう。