- 結論からいうと、今なら変動金利が良い
- 変動金利は金利変動リスクを知っておく
- 金利上昇時は繰り上げ返済で対応する
ローンを借りるときには、大きく分けて変動金利と固定金利の2種類あります。どちらにもメリット・デメリットがあるので、どのタイプでローンを組むかは迷う人も多いです。
結論からいうと、今なら変動金利が良いでしょう。この記事では、なぜ今なら変動金利の方が良いのか?という点について解説していきます。
金利ごとの特徴・仕組みとは?
まずは、そもそも変動金利と固定金利の特徴・仕組みを解説していきます。固定金利といっても、一定期間固定金利と全期間固定金利があるので、以下3種類についての解説です。
- 変動金利
- 一定期間固定金利
- 全期間固定金利
詳しい「違い」については後で解説するので、ここではそれぞれの概要を頭に入れておこう。
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変動金利とは?
変動金利とは、その名の通り金利が変動するタイプのローンになります。そもそも、ローンの返済額は「元本+利息」によって決まります。
そして、利息は金利が高いほど高額になるので、変動金利はローン返済額も変動するということです。
一定期間固定金利とは?
一定期間固定金利とは、一定期間は金利が固定されて、その後は好きな金利タイプを選ぶという仕組みです。
たとえば、「固定10年」であれば、当初10年間は金利が固定されます。そして、その後に再度固定金利を選んでも良いですし、変動金利を選んでも良いです。
全期間固定金利とは?
全期間固定金利とは、借入期間中ずっと金利が変わらないタイプです。たとえば、借入期間35年の場合には、35年間ずっと金利が変わらないのでローン返済額も変わらないということです。
[ad08]金利の違い
前項で、それぞれの金利の仕組みや特徴が分かったと思います。この章より、具体的な違いについて解説していきます。まず、以下のように金利による違いについての解説です。
- 変動金利は最も低金利
- 一定期間固定金利は中間
- 全期間固定金利の金利が最も高い
変動金利、一定期間固定金利、全期間固定金利の順番で金利が低いんですね?
一般的にはそうだね。変動金利は金利が変動するし、一定期間固定金利もずっと金利が一定ではない…つまり、金利変動のリスクが高いほど金利が低いということだね。
変動金利は最も低金利
変動金利は3種類の金利の中で最も金利が低いです。ただし、「変動金利」だからといって全ての金融機関で同じ金利ではなく、金融機関によって金利が異なります。
たとえば、2021年2月時点だと 、じぶん銀行の変動金利で0.41%という金利ですが、みずほ銀行では最低でも0.375%という金利です。
つまり、住宅ローンを借りるときには「金利の種類」以外に、「そもそもどの金融機関で借り入れるか?」という点も重要というわけです。
一定期間固定金利は中間
一定期間固定金利は、変動金利よりは金利が高いですが、全期間固定金利よりは金利が低いのが一般的です。
たとえば、じぶん銀行の固定10年の金利は0.52%なので、前項で紹介した変動金利よりは高いことが分かります。
また、一定期間固定金利は「固定10年」だけでなく、2年、3年、5年、10年、15年、20年など期間を選ぶことが可能です。
全期間固定金利の金利が最も高い
全期間固定金利の代表格は、住宅支援機構が提供するフラット35です。2021年2月時点で、フラット35の金利は以下のように条件によって異なります。
フラット35
融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
9割以下 | 年1.320%~年2.170% | 年1.320% |
9割超 | 年1.580%~年2.430% | 年1.580% |
フラット35は、借入期間が21年以上35年以下の場合に適用されます。融資率とは、言い換えると自己資金(=頭金)率です。
つまり、融資率が9割以下ということは自己資金が1割以上、9割超ということは自己資金が1割未満になります。
フラット20
融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
9割以下 | 年1.230%~年2.080% | 年1.230% |
9割超 | 年1.490%~年2.340% | 年1.490% |
フラット20とは、フラット35と商品自体は同じなのですが、借入期間を15年以上20年以下で設定したときに適用されます。
フラット50
融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
9割以下 | 年1.840%~年2.310% | 年1.840% |
9割超 | 年2.100%~年2.570% | 年2.100% |
フラット50は、長期優良住宅の認定を受けた住宅を取得する場合に限り利用できます。
仮に、長期優良住宅の認定を受け、借入期間を36年以上50年以下に設定したときには上記の金利が適用となります。
フラット35といっても、借入期間などによって金利が違うんですね。
そうだね。基本的には期間が長くなるほど金利が高くなる点を覚えておこう。
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金利による返済額の違い
仮に、借入期間35年、借入金額3,000万円で住宅ローンを組んだときの返済額を比較してみましょう。フラット35に関しては、最も低い金利をチョイスしています。
項目 | 0.41% (変動) | 0.52% (10年固定) | 1.32% (全期間固定) |
月々ローン返済額 | 76,688円 | 78,141円 | 89,233円 |
総返済額 | 32,208,862円 | 32,819,015円 | 37,477,683円 |
このように、変動金利と全期間固定金利を比較すると、月々返済額で12,545円、総返済額で約527万円の違いがあります。
こうして比べて見ると結構な差になりますね!
そうだね。ただし、金利は金融機関によっても違うし、時期によっても違うから注意しよう。
リスクの違い
次に、それぞれのリスクの違いについて以下の点を解説していきます。
- 変動金利は金利変動リスクがある
- 一定期間固定金利は期間終了後に注意
- 全期間固定金利は団体信用生命保険に注意
変動金利は金利変動リスクがある
変動リスクについては以下2点を知っておきましょう。
- 金利の見直し時期と返済額の変更時期は違う
- 1.25倍ルール
金利の見直し時期と返済額の変更時期は違う
変動金利は、半年ごとに金利を見直します。ただし、返済額が変わるのは半年ごとではなく、5年に1回のペースです。
つまり、半年ごとに金利を見直し、その金利変動を5年ごとに反映する…というイメージになります。
「返済額は半年ごとに変わる」と思っている人が多いですが、それは金利の見直しの話で返済額の見直しは5年ごとです。
1.25倍ルール
また、金利を見直した結果、金利上昇によって返済額が上がっても1.25倍超になることはありません。これを一般的に「1.25倍(125%)ルール」といいます。
たとえば、ローン返済額が10万円だったものの、金利上昇によってローン返済額が12.6万円になっても1.25倍ルールが適用されて1.25万円になるということです。
ただし、これは1千円分の返済額を免除しているわけではなく、後回しにしているに過ぎません。そのため、支払えなかった分は後から加算されます。
なるほど。1.25倍ルールというのは、あくまで「返済を先延ばしできますよ」というルールなんですね。
そういうことだね。大幅に返済額が上昇したら支払いが厳しくなってしまうので、先送りすることで「支払い不能」になる状態を避けているということだね。
一定期間固定金利は期間終了後に注意
次に、一定期間固定金利には以下のリスクがある点を知っておきましょう。
- 期間終了後の金利は読めない
- 1.25倍ルールが適用されないケースがある
- 優遇幅が変わる
期間終了後の金利は読めない
一定期間固定金利は、固定期間が終わった後の金利が読めない点はデメリットです。
特に、10年固定金利など比較的長い期間のタイプを選択した場合には、固定期間が終わったときに金利情勢がどのようになっているか分からない点はリスクです。
たとえば、現在は超低金利時代ではあるものの、10年後には金利が上がっており返済負担が大きくなる…というのもあり得る話です。
これは変動金利にもいえることですが、一定期間固定金利は変動金利よりも当初の金利が高いです。つまり、最初の金利が変動金利より高い上に、期間終了時の金利も分からない…点がリスクになります。
1.25倍ルールが適用されないケースがある
また、一定期間固定金利の場合は、固定金利終了後に再度固定金利を選んだ場合には1.25倍ルールが適用されません。
そのため、金利が大幅に上昇し、ローン返済額も大幅に上昇してしまう…ということもあり得るのです。
たとえば、10年固定金利を選択しており、期間終了後に再度10年固定を選択するとします。
しかし、金利上昇によって当初よりも1.25倍超の返済額に上昇してしまう場合でも、その金額は適用になってしまいます。
仮に、切り替え後に変動金利に切り替えれば1.25倍ルールは適用されます。
[ad13]優遇幅が変わる
全ての金利にいえることですが、金融機関は「優遇幅」を用意しています。たとえば、住宅ローンの変動金利は、実は何年も2.475%から変わっていません。
しかし、金融機関が独自に「優遇金利」を用意して、2.475%から金利を差し引いてくれているのです。たとえば、上述した「じぶん銀行」の変動金利は0.41%なので、2.065%優遇しているということです。
ただ、この優遇金利は定期的に変わっていきます。一定期間固定金利は固定金利が終わったとき、変動金利に切り替えるか、再度固定金利を選択しますが、その際の優遇金利はその時点での優遇金利になります。
仮に、じぶん銀行の変動金利の優遇金利幅が2.475%から1.8%に縮小していれば、現在は0.41%の金利が0.675%に上昇するということです。
[ad14]このように、期間終了後の金利がどうなっているか分からない…という点が一定期間固定金利の弱みといえるね。
変動金利もリスクはあるけど、そのリスクを取るからこそ金利が低い…ということですね。
全期間固定金利は団体信用生命保険に注意
このように、変動金利と一定期間固定金利には、それぞれ金利が変動することによるローン返済変動リスクがあります。
また、一定期間固定金利には「1.25倍ルールが適用されない」などのルールもありました。一方、全期間固定金利は団体信用生命保険のリスクについて以下を知っておきましょう。
- 団体信用生命保険とは?
- 全期間固定金利は任意加入
ただ、これはフラット35を選択した場合の話であり、民間金融機関の全期間固定金利を選択した場合は該当しません。
[ad15]団体信用生命保険とは?
団体信用生命保険(団信)とは、借入者が亡くなったときや高度障害になったとき、その時点の残債が補填される生命保険です。
高度障害とは具体的には以下のような状態です。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系、精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
つまり、団信に加入することで、万が一のことがあったときも家族に「残債ゼロの不動産」を残せるということです。
全期間固定金利は任意加入
変動金利や一定期間固定金利を提供している民間金融機関でローンを組むと、団信には必須加入であり金利に組み込まれています。つまり、別途料金がかかることはありません。
一方、フラット35の場合には任意加入であり、加入すると毎年団信料が発生します。団信料については、借入金額や金利によって異なりますので、気になる方は団信特約料シミュレーションサイトで計算しみてましょう。
仮に、借入金額3,000万円、借入期間35年、金利1.3%の場合を試算してみると団信料の総額は2,004,900 円です。
フラット35で全期間固定金利を選択する場合は、団信に別途加入すると費用が毎年かかる点は必ず覚えておこう。
審査の違い
次に、審査に違いについて解説していきます。これは、金利の種類ごとに違う…というよりは、民間金融機関とフラット35を提供している住宅支援機構という、「融資をする機関」による違いです。
厳密にいうと金融機関ごとでも審査基準の違いは多少あります。しかし、それはあくまで「基準」であり、根本的に違うわけではありません。ただ、民間金融機関と住宅支援機構だと根本的に異なる点があります。
民間金融機関の審査は比較的厳しい
民間の金融機関の審査項目は以下の通りです。
- 借入者の年収や年齢、勤務先
- 借入者の雇用形態や勤務先の規模
- 借入者の信用情報(過去の延滞歴など)
- 不動産の担保評価
このように、年収や年齢以外に、勤務先の規模や雇用形態まで審査の対象になります。
全期間固定金利の審査は比較的緩い
住宅支援機構の審査は、民間金融の審査と異なり、基本的に「借入者の雇用形態や勤務先の規模」などは審査しません。
つまり、単純に年収と返済額とのバランス、および信用情報・担保価値で審査するということです。
たとえば、中小企業に勤務していたり、正社員でなく契約社員だったりする場合には、民間金融の審査は厳しくなります。
一方、住宅支援機構の審査は基本的にその点を加味しないので、比較的審査に通りやすいのです。
[ad17]なぜ審査基準が違うんですか?
細かくいうと長くなるんだけど…住宅支援機構はフラット35を証券化して投資家に売却するという仕組みだからだね。要は、金融機関と住宅支援機構は根本的に「資金の調達方法」が異なるから審査も違うんだよ。
変動金利が良い理由
ここまでで、変動金利・一定期間固定金利・全期間固定金利の概要や違いが分かったと思います。冒頭でいったように、3種類の中では変動金利が良いですが、ここではその理由である以下を解説します。
- しばらく低金利はつづきそうだから
- 繰り上げ返済で期間短縮できるから
しばらく低金利はつづきそうだから
日本銀行は現在マイナス金利政策を導入しており、その影響で住宅ローン金利も低水準にあります。今後金利はどうなるかは分かりませんが、低金利時代はつづくと考えられます。
というのも、そもそもマイナス金利にした大きな理由は、「世の中にお金を回し物価上昇率を上げるため」だからです。
しかし、現時点で物価上昇率は思うように上がっていないので、マイナス金利をやめる理由がないのです。仮に、マイナス金利政策を止めてゼロ金利政策に戻してたとしても、金利は低水準といえるでしょう。
[ad18]繰り上げ返済で期間短縮できるから
前項のように、しばらくは低金利がつづく可能性が高いとはいえ、長期間で考えれば金利上昇の可能性はあります。
ただ、ローンは「繰り上げ返済」といって、元本を一気に返済することで借入期間を短縮できます。つまり、借入期間を短縮することで、将来的な金利上昇リスクを低下させることができるのです。
たとえば、借入金額3,000万円、借入期間35年、金利0.5%で借入して、5年後に200万円を繰り上げ返済したとします。
そうすれば、借入期間は29か月(約2.4年)短縮できるので、金利が変動するリスクを少しでも抑えることは可能です。
まとめ
このように、金利種類によって仕組みもメリット・デメリットも違うので、まずはその点を理解しましょう。金利種類を決めたら、各金融機関で金利やサービスを比較して、最終的に借入先を決めるという流れです。
今の低金利時代なら変動金利の方がメリットはあると思いますが、固定金利の数値でも問題ないのであれば固定金利でも良いでしょう。要は、自分に合ったローンを組むことが最も大事なことというわけです。
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2018年の記事のまとめ
金利タイプのまとめ
金利タイプには、金利は高いけど終始金利が変動する事の無い『全期間固定型』と、金利が低いけど将来の金利の変動に合わせて金利が変動する『金利変動型』・その両方を掛け合わせた『全期間固定・変動混合型』が存在します。
自分のライフステージに合わせて『金利変動型』と『2年~35年の期間固定型』を掛け合わせるなどしっかりと計画する事で無理なく確実に返済していく事が賢い方法となります。
また、地方自治体や財形融資などの優遇型の低金利プランを組み合わせる事により大幅な金利削減を目指す事も可能です。
『住宅ローンの代表的な金利タイプの種類とその特徴・住宅ローンの金利タイプの賢い選び方』についてご紹介します。
全期間固定型を選択する理由
「全期間固定型」の金利プランは、一見金利が高く損しているようにも見えますが、ずっと金利が変わらない為、トータルで支払う金利額は低金利の『変動型プラン』より抑えられる場合があり、支払う金利額が変動しない為具体的な人生設計を立てやすいと言う理由で、多くの人から利用されています。
「全期間固定型」のプランは、「全期間」だけでなく、2年から5年・10年…とその期間を選び、その後は金利変動型に移行するという方法を取る事もできます。ただし、固定期間の期間が長いほど、金利も高くなります。
掛け合わせプランについて、固定期間終了後に、今後固定にするか変動型にするのかを選択出来るプランがあったり、金融機関によって取り扱う金利プランが様々なので、一度銀行の窓口で確認の必要があります。
金利変動率の具体的なイメージ
始めは低金利だけど、将来金利が上昇するリスクを持つ変動型の金利。その金利は、半年ごとに見直され、毎月の返済額は1.25倍を限度に5年ごとに見直しされるのが一般的な住宅ローンのルールです。
例えば、低金利変動型でローンを組んで、毎月10万円ずつ支払いを予定していたのに、その後の経済情勢の変化によって、最大で12万5000円ずつの支払い額に跳ね上がってしまう事も普通にあり得ると言う訳です。最悪、更にその5年後の返済額は12万5000円の1.25倍、15万6,250円になってしまう場合もあります。
<strong金利が変動しても、元金と利息の返済額が変わらない『元利均等返済』を選択していた場合、毎月の支払額は変わりませんが、その分返済期間が延びてしまいます。
始めは低金利だけど、将来金利が上昇するリスクを持つ変動型の金利。その金利は、半年実際には、ここまでの変動がある事はほぼ無いと思いますが、「その確率はゼロである。」とは言い切れません。
その為、『支出が増加する期間』・『収入増加が見込める期間』などを見据えて、慎重に金利プランを選択する事が大切になります。
毎月返済額に余裕がある場合
返済期間の収入の増減に関わらず、毎月の返済額に余裕があり、金利の上昇に備えた貯蓄の出来る世帯や今後収入の増加が見込めるような世帯にとっては低金利の変動型プランがおすすめです。
金利支払い額をなるべく抑えたいと考えていて、尚且つ経済的に余裕のある方は、『低金利の変動型プラン』を選択し、金利が大きく変動しないうちに繰上返済やボーナス時加算などで、ローン返済期間を一気に減らすという攻めの返済方法を選択する事も出来ます。
財形融資の利用
もしも、1年以上にわたり50万円以上の財形貯蓄を行っているのであれば、貯蓄額の約10倍の金額を低金利で借り入れ出来る『財形融資』を利用も考えられます。
最大4,000万円の借入が可能で、金利も5年固定で1%未満とかなり優秀。実際に財形融資を目的として財形貯蓄を行う人もいる程、魅力的な金利プランです。
金利補充制度
更に地方自治体などが実施している金利補充制度が利用できるのかも調べておきましょう。市町村によっては、住宅の新築やリフォームに対して『フラット35』の固定金利を5年間引き下げるなどのサービスを行っていますので、これを利用できる場合は総返済額も大きく変わってきます。