- 戸建てにかかる維持費は3種類ある
- 長期間でみるとマンションの方が約1,000万円程度、維持費が高くなる傾向がある
- 維持費は毎月または毎年かかる費用のため、購入を検討する段階から理解を深めておくことが重要
戸建てやマンションを購入することで想定しておかなければならないのが税金やメンテナンス費といった維持費です。
さらに戸建てかマンションかによっても発生する維持費の種類や支払い金額も異なるため、購入することでどのくらいの維持費がかかるのかは知っておくことが重要になります。
本記事では戸建てとマンションと賃貸の維持費を比較するだけでなく、維持費の種類や維持費に関する特徴や注意点についても解説します。
戸建てにかかる維持費は5つ
戸建てやマンションなどの不動産を購入することで、毎年支払うことが義務付けられるのが税金です。
戸建てにかかる維持費①:固定資産税
固定資産税とは戸建てなどの不動産といった固定資産の所有者(固定資産課税台帳に登録されている人)に対して、市区町村が土地や建物をもとに算定する税金のことを指します。
毎年1月1日時点で固定資産を所有している人は各市町村に固定資産税を納税する義務があるため、毎年払い続けることになる費用になります。仮に1月2日以降に戸建てを購入した場合は、翌年からの支払いになります。
固定資産税の納税額は「課税標準額×1.4%(標準税率)」によって算出することができます。課税標準額とは1月1日時点における固定資産課税台帳に登録された価格であり、建物と土地に分けて考えられ3年に一度評価額が見直されます。
戸建てにかかる維持費②:都市計画税
都市計画税とは都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てることを目的とした税金になります。
この税金は固定資産税とは異なり、土地及び建物を有している人全員が支払うものではなく「市街化区域」に固定資産を有する人が払う税金です。都市計画税は「課税標準額×上限0.3%」で算出できます。
戸建てにかかる維持費③:経年劣化による外装・内装・設備等の修繕費用
新築で戸建てやマンションを購入しても月日が経つにつれて日常的に利用する箇所や外壁や屋上など外気に触れる設備などは、大小問わず修繕が必要になります。
特に戸建ての場合はすべての修繕費用を自分で支払うことになるため、あらかじめ建物が経年劣化することを見越して資金を積み立てておく必要があります。具体的な箇所としては外壁の塗装や屋根の修理、内装であればクロスの張り替えや水回りの設備交換、場合によっては敷地内の手入れなどが該当します。
戸建てにかかる維持費④:損害保険料(火災保険や地震保険等)
日本は世界でも有数の自然災害の多い国になります。そのため万が一の災害に備えて、火災保険や地震保険などの損害保険に加入することも検討しなければなりません。
火災保険は保険会社によって保険の特長や付帯される補償範囲、保険料が異なりますが、保険料の平均額は年間で10,000円から20,000円ほどになります。またオプションや付帯される補償範囲を拡大することで、それに比例する形で保険料は上がっていきます。
近年では金融機関で住宅ローンの契約を行う際に火災保険への加入をセットにしているプランも多いため、住宅引き渡しまでにしっかり吟味して住宅形態に適した火災保険に加入するようにしましょう。
一戸建てにかかる維持費⑤:自治会費用(町内会など)
これは必要な維持費ではありませんが戸建てを選択した場合、居住地域によっては自治会(町内会)の運営を維持するための自治会費用を支払うことになります。戸建てはマンションなどの集合住宅とは異なり、近隣の住人との付き合いや関わりが密接になります。
そのため自治会(町内会)の活動に協力する観点から支払うことが重要でしょう。具体的な会費としては月額200円から2,000円程度のところが多く、さらに行事ごとに寄付金を募る自治体もあります。
マンションと戸建ての維持費の違い
不動産の購入を検討する際、多くの人が悩まれるのが戸建てとマンションどちらの方がお得かという点です。これは購入にかかる費用だけではなく購入後に発生する維持費(ランニングコスト)も含めて検討することが必要になります。
ここでは戸建てとマンションの維持費の違いについて解説します。
マンションは管理会社がある
マンションは戸建てとは異なり月々の管理費や修繕積立金を支払うことで、建物の管理や修繕を行ってくれる管理会社が存在します。
そのため所有者はマンション管理にかかる日常清掃や備品管理、建物及び設備の点検やメンテナンス等など、知識が豊富な会社に一括して管理してもらえるため、品質の高いサービスを受けることが可能です。
戸建てとマンションの生涯維持費の比較
では戸建てとマンションでは生涯にわたってかかる維持費にどのくらい違いがでるのでしょうか?今回は戸建て・マンションそれぞれの価格を3,000万円に統一して考えてみようと思います。
以下に算出した金額は目安になるため参考程度に覚えておきましょう。
○戸建ての場合
購入時の諸費用 (物件価格以外 |
0円~60万円 |
固定資産税・都市計画税
|
約240万円 |
管理費・修繕積立金
|
0円 |
火災保険(10年の場合)
|
約40万円 |
駐車場(駐輪場)費用
|
0円 |
修繕費 |
約500万円
※築年数30~35年ほどで算出 |
合計金額 | 約840万円 |
○マンションの場合
購入時の諸費用 (物件価格以外 |
0円 |
固定資産税・都市計画税
|
約360万円 |
管理費・修繕積立金
|
約720万
※月々2万円を30年支払うと仮定 |
火災保険(10年の場合)
|
約10万円 |
駐車場(駐輪場)費用
|
約720万円
※東京都の平均相場2万円から算出 |
修繕費 | 0円 |
合計金額 | 約1810万円 |
あくまで居住地域や物件内容によって差はあるものの30年間の生涯維持費で比較すると、マンションの方が約1,000万円程度、維持費が高くなる傾向があります。
戸建てと賃貸の維持費の違い
続いて比較するのは一戸建てと賃貸物件の維持費の違いになります。
賃貸といえども月々支払う費用項目は多く、一概に「賃貸の方が維持費が掛からなくてお得」と言うわけではありません。
賃貸は更新料や家賃などが維持費としてある
賃貸物件にかかる維持費としては月々の家賃や共益費・管理費をはじめ、物件を更新する際の更新料が維持費として発生します。
さらに車や自転車を使うのであれば駐車場(駐輪場)代、万が一の災害に備えての各種保険料など、賃貸物件であってもさまざまな費用がかかってくるです。
しかし一戸建てと賃貸物件の維持費を支払っていく上で異なる点が資産性です。
賃貸物件の費用面で考えれば固定資産税や都市計画税といった継続的に支払うコストが発生しないため、お得とも解釈することができます。しかし、ずっと賃貸物件に家賃を支払い続けても自分の資産になることはありません。
戸建ての維持費に関する特徴と注意点
最後に一戸建ての維持費に関する特徴と注意点について解説します。一戸建ての場合、建物所有者が全てを管理、修繕することが求められるため、どのようなことが想定され費用が発生するのか、あらかじめ知っておく必要があります。
以下では一戸建ての維持費を支払う上で押さえておきたいポイントをまとめて解説します。
新築一戸建ては軽減措置の特例が終わると固定資産税が上がる
新築の一戸建てを取得した場合、要件を満たしていれば不動産に対して軽減措置が適用されます。これは課税標準額の軽減措置や税負担の調整措置が適用されることで、新築取得時から3年間は税負担が軽減されるのです。
木造住宅はシロアリ対策などで維持費が高くなりがち
一戸建てのすべてが該当するわけではありませんが、居住地域や環境によってはシロアリの被害に遭うことも想定されます。
シロアリは土の中から移動してくるため完全に防ぐことが難しく、建物の基礎部分である土台や床下、場合によっては天井などに被害を与えるためシロアリ対策を講じることも重要です。現在多くの住宅メーカーではシロアリ対策として新築時から10年前後の保証が備わっています。
しかし保証が失効されると、その後は自分で費用を出さなければなりません。シロアリの種類や被害の大きさによって費用は異なるものの、全国的な平均相場としては駆除及び予防が1平方メートルあたり約2,000~2,500円程度です。
月日が経つごとに修繕費は高くなっていく
経年劣化によって建物が老朽化することで一戸建てでも定期的にメンテナンス、場合によっては大規模な修繕を行う必要があります。
当然、使用頻度が多い箇所や構造体や外壁など建物の基礎となる部分になると、劣化だけでなく故障や破損といったことも想定されるため、月日が経つことによって修繕費も高くなっていきます。
修繕する内容や場所によっては数十万程度から多くて100万円単位の修繕になることもあるため、経年劣化の影響を加味して年月の経過とともに修繕やメンテナンスにかかる費用が高くなることを覚えておきましょう。
まとめ|マンションの方が戸建てより維持費が高くなる傾向
不動産を購入すれば必然的に発生する税金や維持費の問題。特に維持費は毎月または毎年かかる費用のため、購入を検討する段階から理解を深めておくことが重要です。
また一戸建てとマンション、賃貸で支払うべき維持費も異なるためご自身のライフプランと合わせて検討することが大切です。
賃貸と持ち家の生涯コストとキャッシュフロー比較はこちらの記事で詳しく解説されています。併せてご確認ください。
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