- リノベーションと建て替えの違い「基礎部分や躯体部分を残して工事するか」「基礎部分も含めて一から新しい住宅を建築するか」
- 優先順位をしっかり考えて、あまり重要でない工事や設備の更新については見送ることも検討する。
- それぞれのメリット・デメリットを比較検討したうえで、自分や自分の家族にあった方法を見つける。
一戸建て住宅は老朽化してくると、水回りなどの設備や壁・床に不具合が見つかるだけでなく、断熱性や耐震性も低下します。このようなときに自宅をリノベーションするか建て替えるかは悩みどころです。
今回はリノベーションと建て替えについてそれぞれの違い、メリット・デメリット、どちらにしたらよいかの判断基準などを解説します。
リノベーションと建て替えの違いとは?
リノベーションと建て替えの違いは、基礎部分や躯体部分を残して工事するか、基礎部分も含めて一から新しい住宅を建築するかにあります。
フルリノベーションになると工期や費用面では建て替えとさほど変わらなくなりますが、一般的なリノベーションと建て替えを比較すると以下のような違いがあります。
リノベーション | 建て替え | |
工事期間 | 数週間から5か月 | 4か月から6か月 |
工事費用 | 300万円から3,000万円程度 | 2,000万円から4,000万円程度 |
諸費用 | ・引っ越し・仮住まい費用 (大規模の場合) ・登記費用 (増築・改築の場合) |
・建物解体工事費用 ・地盤調査・測量費用 ・引越し・仮住まい費用 ・登記費用 ・取得税等の税金 |
引越し等の手間 | 小規模であれば引越しの必要なし | 2回の引越し |
間取り変更の自由度 | 制限あり | 制限なし |
ローンの組みやすさ | 金利や期間の面でやや不利 | 低金利・長期間のローンが組みやすい |
建て替えが必須なケースとは?
場合によってはリノベーションするのではなく、建て替えが必須となるケースもあります。
例えば、地震などの天災やシロアリなどの被害によって躯体自体に痛みや腐食が見つかっている場合です。このように構造上の問題が多数見つかっている場合には建物の安全性に問題があるために建て替えてしまった方が無難です。
また、建物だけではなく、地盤に問題がある場合も同様です。エリアによっては大地震の影響で地盤が緩んでいるところがあります。地盤調査で問題が発見された場合には、地盤改良をした上で建て替えを検討した方がよいでしょう。
[ad01]建て替えができないケースとは?
逆に、再建築不可物件や既存不適格物件など、建て替えが難しいためにリノベーションを優先して検討した方が良い場合もあります。
再建築不可物件とは、建物が建てられた後の法令の変更によって建物が建てられなくなってしまった土地に建っている物件です。現在の建物に住み続けることはできますが、解体撤去した後は新しく建物を建設することができません。
既存不適格物件は、後の法令の変更によって現在の建物が法令に適合しなくなっている物件です。こちらも住むこと自体はできますが、新しく建てられる建物は現在の建築基準法を充たす仕様にする必要があります。そのため、同様の床面積や高さの建物が建てられない可能性があるのです。
このような場合には、リノベーションを中心に検討することになります。
[ad08]建て替えのメリット・デメリット
建て替えは、住み慣れた場所で生活し続けることと、気分一新新築住宅に住むことを同時にかなえてくれるもので、多くのメリットがあります。もっとも、新しく住宅を新築することからくる費用面や労力の面では負担が大きいと感じる人も多いでしょう。
徳田編集者
建て替えのメリットとは?
建て替えは新築一戸建てを建築することと変わりません。外観や内装、設備のすべてが新しくなるのはもちろんのこと、現在のライフスタイルに合わせて間取りも自由に決められます。吹き抜けのリビングにしたい、バルコニーを広くしたい、車を2台置けるようにしたいなど、リノベーションでは難しい変更も、予算と広さが許す限り可能になります。
また、断熱性や耐震性、省エネなど住宅の性能についても数十年前の一戸建てと現在の一戸建てでは大違いです。風通しが良くなったり冬の寒さが緩和されたりなど住み心地という点でも大きく改善されるでしょう。
加えて、建物だけではなく、地盤についても改良がしやすいという点は注目したいメリットです。建物があると難しい地盤調査も、解体撤去した後であれば容易に調査可能です。これにより必要な地盤改良工事を施工することができます。
[ad09]建て替えのデメリットとは?
多くのメリットがある建て替えですが、費用ついては、新築の建物を建築するときと同様の予算を見積もる必要があります。また、既存建物の解体・撤去費用や仮住まいの費用、不動産取得税や登録免許税などの税金などの付随費用も掛かってきます。既存住宅のローンがまだ残っている場合にはかなりの資金負担となるために資金計画は慎重に立てておくことが大切です。
工期についても、解体工事に始まって、調査・測量、建築工事まで6か月から8か月前後は見ておいた方が良いでしょう。
また、建て替え後は建物価格の下落スピードが速い傾向にあります。万が一売却することになったときには、建て替えにかかった費用よりもかなり割り引かれた金額で売却することになることが多いという点については気に留めておきましょう。
[ad10]リノベーションのメリット・デメリット
リノベーションは既存の建物を活かして工事を行うために、手間や費用の負担は建て替えに比べてかなり軽減されます。フルリノベーションか一部のみのリノベーションかなど、予算に合わせてさまざまな工事のバリエーションがあるのもメリットです。
一方、間取り変更が自由にできないことや基礎部分や躯体の老朽化を受け入れる必要があることはデメリットといえるでしょう。
リノベーションのメリットとは?
リノベーションは基本的には建て替えよりも工期・費用面でアドバンテージがあります。必要に応じて一部のみのリノベーションにとどめることで、仮住まいの必要なく工事できることから精神的・身体的な負担を軽減できます。
現在はリノベーションの建材や工法もかなり進化しており、内装や設備を新品にすれば新築同様の住み心地を感じることができます。
また、建て替え時のように不動産取得税や建物登記の登録免許税がかからないため、税金面でもリノベーションの方がお得感があります。
リノベーションのデメリットとは?
リノベーションの場合には、どうしても間取り変更に限界があることは否めません。増築・改築やフルリノベーションによって希望する間取りは実現できることが多くなりますが、新築とさほど変わらない費用がかかってくることもあります。
また、基礎部分や躯体部分のほか、配管など、リノベーションでは改修・交換しにくい部分もありますので、すべてを新築同様にすることはできません。
[ad11]リノベーションと建て替えのどちらを選ぶべきか?その判断基準とは?
事務員
徳田編集者
事務員
徳田編集者
築年数や傷み具合から判断する
築年数がかなり古く、基礎部分や躯体などに傷みが見られる場合には、建て替えを優先的に検討することが考えられます。
特に旧耐震と呼ばれる昭和56年5月以前に建築された建物については、耐震性に問題があるといわざるを得ません。阪神・淡路大震災では全壊した木造建物の93%が旧耐震基準だったというデータもあります。
また、壁に斜めのひびやクラックが入っている、柱がゆがんでいる、床が傾いているなどの症状がみられる場合には基礎や躯体に問題がある可能性があります。必要に応じて専門家にインスペクション(建物状況調査)を依頼し、調査結果をみて建て替えを判断しても良いでしょう。
予算で判断する
建て替えは魅力的ですが、予算のハードルがどうしても付きまとってきます。
工事総額を比較するだけではなく、既存建物の残債はどの程度か、リフォームローンは借り入れできるかなど、さまざまな観点から予算を検討すべきです。ただし、リフォームローンの条件によっては、建て替えをして長期・低金利の住宅ローンを組んだ方が負担は少ないということもあり得ます。
家族の希望を基に判断する
今後のライフスタイルや家族の希望についても大切な判断要素です。
その家に今後長く住む前提なのか、他の土地に引越しをする可能性があるのかについては、長期のローンを組むかどうかの判断に影響します。子供の年齢によっては、子供が独立した後に新しい住まいに住み替えたほうがよいということもあるかもしれません。
また、今の住宅のどこが不満なのか、大規模なリノベーションや建て替えが本当に必要なのかということも、家族で話し合うことで結論が変わってくることもあるでしょう。
リノベーション工事をしながらの生活や仮住まいへの引越しは、家族に大きな負担をかけるものですから、家族みんなの希望や意見を聞きながらリノベーション・建て替えを検討すべきです。
まとめ
住まいの建て替え、リノベーションはいずれもメリット・デメリットがあるために、それぞれを比較検討したうえで、自分や自分の家族にあった方法を見つけるのがよいでしょう。
費用や築年数はどちらが良いかを決める大切な判断要素ですが、本当に必要な工事は何かを見極めることが重要です。
自宅のリノベーションや建て替えは、将来の生活やライフスタイルについて家族みんなで話し合ういい機会でもあります。家族の状況や希望についてお互いによく考えることで、家族のきずながさらに深まることでしょう。
ぜひ、家族みんなが満足のいくリノベーション・建て替えを実現してください。