- 無駄のない空間と使いやすいサイズの家具を実現できるほか、地震に強いのもメリット
- 工事のタイプは現場で製作する大工工事と、別の場所で製作して納品する家具工事の2種類
- 現物を事前に確認できない、作製に費用や時間がかかる点がデメリット
オーダーメイドで、スペースを無駄なく活用できる造作家具。部屋全体の統一感を出せるため、インテリアにこだわりたい方にもぴったりの方法です。
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浜崎編集長
そこで今回は、造作家具の基本知識やメリット・デメリット、種類や費用にについて詳しくご紹介します。
造作家具とは
造作家具(ぞうさくかぐ)とは、家を新築で施工する際、家のイメージや設計に合わせて造られるオーダーメイドの造り付け家具のこと。
オーダーメイド家具や、オリジナル家具と呼称されることもあります。
いわゆる備え付け家具のことで、既製品を購入して設置するのとは大きく異なります。市販されている家具は、比較的どのような家にもフィットするよう設計されているため、どうしても似通ったデザインになりがちです。
しかし造作家具であれば、色や素材、形や大きさなど、新築する家を基準にした家具を製作できます。
また、造り付けという言葉の通り、壁や床に家具を固定して家の「一部」として設計する場合が多いのも造作家具の特徴です。
設計の際は家の施工依頼と同時進行になるのが一般的で、家づくりのプランを立てながら理想的な家具を設計する流れになります。
施工会社によっては、完成した家を見て既製品を買うような感覚で造作家具を設計することも可能です。
造作家具のメリット
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浜崎編集長
- 空間を無駄なく有効活用できる
- 使いやすいサイズで作れる
- 地震が起こっても倒れる心配がない
- 部屋と家具に統一感を持たせられる
上記のメリットについてそれぞれ解説します。
空間を無駄なく有効活用できる
造作家具は、設計段階で家の寸法に合わせて製作するため、空間を最大限に活用できます。
図面の作成時などに導き出した数字をもとに、隙間を作らず設計・設置できるため、デッドスペースができません。
また、造作家具の設置を前提にして面積を取ることも可能なため、既製品よりも大きく広いものを製作できるのです。例えば、既製品のタンスやクローゼットでは家族全員分の荷物が入らない場合、造作家具であれば荷物の量に応じて設計ができます。
また、家を建てた後に造作家具を作る場合も同様です。
既製品では入り切らなかったりスペースが余ってしまったりする場合でも、造作家具であれば状況に応じて設計できるため空間を有効活用できます。
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使いやすいサイズで作れる
造作家具には、体格に応じて自由にサイズを設計できる強みがあります。
とくにキッチンなど毎日使うものに関しては、体のサイズに合わせたものでないと体への負担やストレスを感じることも。
大きさももちろんですが、高さや収納など、より利便性に特化したオリジナルの観点を入れ込むことも可能です。また、既製品と併用して使う造作家具を製作したい場合も、既存の家具に応じた最適なサイズで設計ができます。
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地震が起こっても倒れる心配がない
造作家具は壁や床に造り付けるため、既製品と比べて地震による倒壊の不安がありません。
市販の家具では不安になるような大きさでも、造作家具には「固定する」という強みがあるため、地震への心配は不要です。
市販の家具は安価でクオリティの高いものを購入できるメリットがありますが、地震への備えが十分ではありません。
地震の対策として突っ張り棒などを設置することもありますが、見栄えが悪いため躊躇ってしまう方もいますよね。造作家具は備え付けなので、突っ張り棒も不要です。
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部屋と家具に統一感を持たせられる
造作家具は家づくりと並行、もしくは完成後の家をベースに設計します。そのため既製品では難しい、部屋と家具の統一感を出せるのもポイントです。
市販の家具を導入する際「デザインはいいけど素材のイメージが合わない」「素材は合っているけど色味が気に入らない」
このように感じることがありますよね。
造作家具であれば、素材や色味も部屋に応じてこだわれるため、統一感という観点では最適な選択肢と言えます。
建物の外観に沿った設計も可能なため、トータルバランスの整った家づくりが実現可能です。
造作家具のデメリット
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浜崎編集長
- 簡単には移動や撤去ができない
- 打ち合わせや作製に時間と手間がかかる
- 事前に現物を見ることができない
- 費用が高い
上記の造作家具に関するデメリットを詳しく解説します。
簡単には移動や撤去ができない
造作家具は壁や床、天井などに固定するため、模様替え感覚での移動・撤去が困難です。
テレビボードなど移動可能な造作家具もありますが、基本的には移動ができないものであると言えます。
こまめに移動することを前提として設計士に相談することも可能です。ただしその場合は、造作家具としてのメリットが活かせないため、あまりおすすめはできません。
造り付けた造作家具を移動・撤去する場合は、高い費用が発生する可能性もあります。そのため造作家具は、移動や撤去を前提にせずに設計することをおすすめします。
打ち合わせや作製に時間と手間がかかる
造作家具はデザインやサイズが一棟ごとに異なるため、既製品の購入よりも時間がかかります。デザインの決定から製作開始、完成までに時間がかかるのはもちろんのこと、打ち合わせにもある程度の時間が必要です。
家の寸法に合わせてジャストフィットする家具を設計することになるため、一度打ち合わせただけでは適正なものは製作できません。
浜崎編集長
事前に現物を見ることができない
造作家具は完全オーダーメイドのオリジナル家具であるため、現物の確認や比較ができません。
そのため、完成品を確認したうえで導入を検討したい方には不向きです。
また、仕上がった造作家具に不満があっても、料金を支払う必要がある点もデメリットです。できる限りイメージに近いものを製作できるよう、素材や質感など、確認できる見本品はすべてチェックすることをおすすめします。
製作開始前の打ち合わせも、完成品を見てがっかりしないよう、細かな点まで何度もすり合わせることが大切です。
費用が高い
造作家具は、既製品よりも価格が高くなる傾向にあります。
完全オーダーメイドで、一人ひとりの理想に合わせた家具を製作できる反面、市販の家具よりも予算を多く見積もる必要があります。
仮に予算をあまり多く割けなくても、予算内でどのような造作家具を設計できるかを相談することは可能です。
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造作できるのはどんな家具?
造作家具といえば収納というイメージが強いかもしれませんが、ベッドやキッチンなどほとんどの家具が造作可能です。造作家具として製作できる家具には、主に以下が挙げられます。
- 本棚
- ベッド
- キッチンカウンター
- テレビボード
- カップボード
- トイレ収納
- 洗面台
- デスク
- カウンター
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浜崎編集長
造作家具の種類
造作家具は工事のタイプに応じた2種類に分かれています。
- 大工工事
- 家具工事
それぞれの違いについて、以下で詳しく解説します。
現場で製作する大工工事
施行中の現場で資材を加工し、大工さんがその場で家具を製作するのが大工工事です。現場での製作になるため、家づくりに活用しているものと同じ素材の造作家具を製作できます。
また、家づくりの工程に造作家具づくりが組み込まれるため、家具が完成するまでの待ち時間がありません。
ただし、あくまで現場での作業となるため使える素材や道具が限られます。
複雑なデザインや構造の家具を作れない場合があるのもデメリットです。
工場で作ったものを設置する家具工事
家づくりの工程に家具の製作は組み込まず、工場など別の場所で製作したものを設置するタイプを家具工事と言います。
工場では造作家具の製作に特化して作業を行うため、現場作業ではできない細工を施せる点がメリットです。
現場よりも作業環境が整っているため、より精密な造作家具を製作できます。
ただし、現場への運搬が作業に組み込まれるため、あまりに大型の家具は製作できない可能性があります。
現場ではできない工夫ができる反面、製作費用が高くなってしまう点もデメリットです。
造作家具の費用目安
造作家具の製作費用は、あくまでそれぞれの予算に応じた価格になるのが前提です。
収納は10〜30万円で製作できる工務店もあれば、テーブルだけでも30万円ほどかかる工務店もあります。
「大工工事では10万円だけど家具工事では20万円」といったように、工事のタイプに応じて異なる価格を設定している工務店もあります。
事務員
浜崎編集長
家具の種類・工事の方法・素材・大きさなどによって価格は千差万別です。
造作家具を依頼する際は、まずは家具に割ける予算をしっかり計算した上で工務店に相談してみましょう。
まとめ
今回は造作家具という、オーダーメイドで製作する造り付け家具について紹介しました。
造作家具は施工した家に合わせて製作されるため、無駄のない空間と使いやすいサイズの実現につながります。
造り付けであるため家のイメージにも合わせやすく、地震に強いのもメリットです。ただし、設置後の移動・撤去が難しく、実物を事前に確認できないというデメリットも。
費用や時間がかかってしまうのも、既製品とは異なるポイントです。
造作家具の製作を依頼する際は、メリット・デメリットはもちろん、工事のタイプも把握しておかなければなりません。現場で製作する大工工事と、別の場所で製作して納品する家具工事があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため事前の把握が大切です。