- 地震保険は2017年から3段階にわたって保険料が引き上げられている
- 料金の改定は地震の発生頻度や確率ではなく、地震が発生した際に想定される被害の大きさを示している
- 保険料が値上げされる前に長期契約を結ぶことも保険料を安くする方法のひとつ
地震保険は住居用の建物や家財を地震や噴火、また津波等の自然災害によって起こる損壊や埋没などの被害を補償してくれる保険の一種。特に地震大国に含まれる日本では、地震保険及び火災保険の重要性が増しています。しかし近年頻繁に発生する自然災害の影響によって、2017年から3段階にわたって保険料が引き上げられていることをご存知でしょうか?
地震保険は現在まで三段階で値上げしている傾向
近年、日本各地で頻繁に発生する地震災害ですが、将来的な災害リスクの高まりを機に地震保険は現在までに三段階(3度目は2021年1月)で値上がりをしています。主な要因としては2011年の東日本大震災の影響や南海トラフ地震などの被害予測を踏まえ、2014年に東北地方太平洋沖地震を踏まえた震源モデルの見直しに伴い保険料の改定が行われているのです。
2017年1月に全国平均5.1%の値上がり
地震保険料の改定の1度目は2017年1月に全国平均で5.1%の値上がりをしています。この時、最も保険料の値上がり幅が大きかったのは埼玉県で、イ構造で14.7%、ロ構造で14.3%となっています。
その一方、愛知県や三重県、和歌山県ではイ構造で15.3%、ロ構造で11.3%の値上げが行われています。
2019年1月に全国平均3.8%の値上がり
地震保険料の2度目の改定は2019年1月に行われており、その際は全国平均で3.8%の値上がりをしています。2度目の改定で突出して保険料が値上がりしたのが福島県や茨城県、埼玉県、徳島県や高知県などで、これらの地域では約14%以上の高い改定率となっています。
一方、2度目の改定では北海道や青森県、新潟県、大阪府などが約3.7%から11.8%の幅で値下がりしており、愛知県・三重県・和歌山県では1度目の改定に続いてイ構造で15.8%、ロ構造で14.5%の値下がりをしています。
2021年1月に地震保険が値上がり予定
三段階のうちの3度目の改定は2021年1月1日以降の契約から行われる予定となっています。その際の値上げ幅は全国平均で5.1%とされており2017年からの三段階の値上げによって14.7%の値上げが行われました。また今回の改定でも都道府県及び建物の構造によって改定率が異なります。
今回最も値上がりをした地域は福島県や埼玉県で14.1%から14.7%の値上がり、対する愛知県や三重県、和歌山県では14.2%から18.1%の値下がりの改定となると発表されています。
地域によっては地震保険の料金が下がっているところも
これまでに2度保険料が改定された地震保険ですが上記の説明からもお分かりの通り、地域によっては地震保険料が段階的に下がっている地域も見られます。地震保険の保険料はすべての損害保険会社が一律になっており、損害保険料率算出機構が算出した基準料率によって決定します。
この基準料率は建物構造(イ構造/ロ構造)による区分だけでなく、建物の所在地域によって変化します。そのため料金の改定は地震の発生頻度や確率ではなく、地震が発生した際に想定される被害の大きさを示しているのです。
地震保険を少しでも安くするには?
地震保険は2014年に東北地方太平洋沖地震を踏まえた震源モデルの見直しに伴い、これまでに2度、地震保険料の改定が行われており、2021年1月には3度目の改定がおこなわれると発表されています。ますます料率が引き上げられる地震保険ですが契約を結ぶタイミングや保険内容を見直すことで、保険料を少しでも安くすることが可能です。以下では地震保険料を少しでも安く抑えるための方法を4つに分類して解説します。
保険料が値上げされる前に長期契約を結ぶ
地震保険を少しでも安くするためには保険料が値上がりする前のタイミングで長期契約を結ぶようにしましょう。これまで地震保険は2017年1月と2019年1月の2度にわたって保険料の改定が行われ、2021年1月1日以降の契約から新たな保険料になることがわかっています。そのため現在地震保険に加入しており今後も継続して保険に加入する場合は、保険料が値上げされる前に契約を結ぶことで保険料を安く抑えることが可能です。
またよりお得に契約するためには1年ごとの単年契約ではなく5年単位の長期契約を結ぶことで、1年ごとに保険料を支払うよりも総支払金額を抑えることができます。また地震保険には建物の免震及び耐震構造に応じた割引や築年数によって割引が適用されるケースも存在します。
不要な補償は外す
必要ない補償や特約などを除外することで保険料を安くすることができます。例えば都市部の高層マンションや高台にある一戸建てであれば、床上浸水などの水災補償の必要性はあまりありません。また地盤が弱いエリアや豪雨に見舞われる地域であってもハザードマップや民間企業が作成した地盤サポートマップを活用することで、住んでいる地域性に応じた補償のみに加入することができます。
ただし保険の対象となっている災害に対するリスクは年間変化しています。多くの世帯では単年契約ではなく長期契約をしている世帯も多いため、契約したタイミングによっては不要な補償が含まれていたり、現在の災害をカバーする特約が備わっていたりするケースも見られます。
免責金額を設定しておく
保険の免責金額を設定することで保険料を安くすることが可能です。保険における免責とは地震や火災等の災害時に保険金がおりるときに自己負担する金額のことを指します。免責金額は自己負担0円(免責なし)をはじめ3,000円や5,000円、多いところでは10,000円や50,000円、100,000円といったように補償内容に応じて差異が設けられており、設定金額も保険会社によって異なっています。
一般的に免責金額を高くするほど保険料を抑えることができますが、その一方、損害が発生した際は自己負担金額が大きくなってしまうと言ったデメリットがあるため、保険料を安く抑えると言った視点だけではなく有事の際に自分が支払い可能な金額であるかどうかという点で考えるようにしましょう。
地震保険の長期係数について知っておく
地震保険料を安くするためには「長期係数」についても知っておく必要があります。長期係数とは保険を長期契約(2年~5年)する際、保険料を長期一括払いとする場合に用いられる割引係数で、1年分の保険料率に乗じる数値を指します。具体的には2年契約であれば1.90、3年契約であれば2.85、最長の5年契約であれば4.65と言ったように割引額*が定められており、契約する期間によって保険料を安くすることが可能です。
*長期係数の見直し数値は、2021年1月1日以降(3段階改定のうちの3回目の改定)からの契約に該当
まとめ
2021年1月の3度目の料率改定に伴い一連の地震保険の値上げは一段落します。しかし年々増加傾向にある災害リスクを加味すると、今後も更なる保険料の値上げが行われる可能性があります。
そこで重要になるのが現在の保険料(2019年1月/2度目の改定)のタイミングで契約するかどうかや、または地震保険料を少しでも安くするにはどうすればいいかを検討することです。本記事で解説した内容を参考によりお得に地震保険及び火災保険に契約するようにしましょう。